こんな疑問に答えます。
この記事を読むと分かる事
- 「空き家バンク」は全国の空き家の情報を公開しているwebサービスのこと
- 「空き家バンク」には、各自治体が運営しているものと、全国版のものがある
- 「空き家バンク」間の情報が共有されているわけではない
- 他にはない不動産情報を得られる可能性がある媒体である
「空き家バンク」と検索すると様々なホームページが出てくるので、一体どういうサービスなのか実態が掴みにくいと思います。
この記事では、「空き家バンク」とは何か?について詳しく解説し、現状の問題点を踏まえた上での使い方も説明していきます。
「空き家バンク」とは?
「空き家バンク」とは、地域にある空き家の売り情報や貸し情報を集めたWEBサイトです。実は、現在「空き家バンク」と名の付くサイトは沢山あります。
「空き家バンク」の種類は大きく分けると次の二つです。
- 地方公共団体が作っている「空き家バンク」
- 国土交通省のバックアップで作られた「全国版空き家・空き地バンク」
地方公共団体が作っている「空き家バンク」
各地の市町村など、自治体が運営する空き家バンクがあります。
これらの多くは、過疎化が進んでいる地域や、空き家、空き地が多く不動産を有効活用できていない地域の自治体のものです。地域の空き家や空き地の売買、賃貸の情報を提供する事によって、地域の活性化や定住、移住の促進を目指して運営されています。
さらに詳しく
自治体によっては、その地域へ移住する場合に、家のリフォーム費用を補助するなどの取り組みをしていたりします。
運営の方法は自治体によって様々で、いくつかの市町村が一緒に一つの「空き家バンク」を作っている場合や、単独で行っているものもあります。さらには、自治体以外の事業者が運営に協力している空き家バンクもあります。
自治体による空き家バンクの仕組み
「全国版空き家・空き地バンク」
このwebサイトは地方自治体ごとに設置されている空き家バンクの全国版として平成29年10月から始まりました。
国土交通省が民間の2事業者に委託して運営しています。
運営している事業者は、不動産ポータルサイトで有名な、「アットホーム」と「ライフルホームズ」です。
それで、「全国版空き家・空き地バンク」は二つあります。
空き家バンクができた経緯
- 背景は全国的な空き家の増加
- 各地方公共団体が空き家バンクを作った
- 2018年から全国版空き家バンクが運用を開始した
全国的に利用されずに放置された空き家が増えています。空き家は今後も増え続ける見込みで、国土交通省の試算によれば、対策をしなければ2033年の総住宅数は約7,100万戸、空き家数はやく2,150万戸となり、空き家りつは30.2%にまで上昇する見込みです。
活用されていない空き家は、防災、防犯上の観点から考えても好ましくありません。それだけでなく、活用されていない不動産は不動産価格の下落をもたらし、経済全体にとってもマイナスとなります。
このようなことから、国を上げて、空き家の有効活用、流通を促進しようとしているのです。
国の方針に従い、各地の自治体も個々に空き家の問題に取り組んできました。特に過疎化が進んでいる地域などでは、空き家だけでなく人口の減少も問題になっています。住民の流出を食い止め、さらには移住してくる人を増やすために様々な取り組みが行われています。
そのような取り組みの一つとして、「空き家バンク」があり、使われなくなった空き家の情報を公開して、移住者や新たにビジネスを始める人を誘致しています。
このような流れで、各地方に空き家・空き地の情報を公開する「空き家バンク」が作られました。
そのため、各地の空き家バンクはそれぞれの方法で作られており、複数の地域で情報を検索したり、比較したりする事が困難でした。そこで、国土交通省が主体となって、2018年4月より全国版の「空き家・空き地バンク」がつくられました。
さらに詳しく
現在「空き家バンク」は、全国版と各地方公共団体版が共存している状況です。
全国版の空き家バンクに掲載されている情報は、地方公共団体からの情報に基づいています。
なぜ空き家バンクが必要なのか?
現在、不動産を探している人のほとんどはインターネットで物件情報を収集すると思います。
有名なところでは、アットホーム、ホームズ、SUUMOなどの不動産ポータルサイトがあります。また、各不動産業者のホームページなどもチェックする事でしょう。
ほとんどの売り物件や貸し物件はそれらのホームページで網羅されています。
では、なぜ「空き家バンク」が必要なのでしょうか?
それは、まさにそのような、不動産流通の市場に乗っていない「空き家」を流通させる為です。
総務省の調査によると、現在賃貸用にも売買用にもなっていない空き家は全国で318万戸あるという事です。
この、いわば忘れられた空き家を流通させるのが、この「空き家・空き地バンク」の大きな目的です。
ココがポイント
「空き家バンク」に掲載されている物件情報は、基本的にその他の不動産ポータルサイトに載せられていないものです。
空き家を放置する理由はたくさんある
不動産の市場から忘れられた空き家と言っても、売らずにそのままにしているにはそれなりに理由があるに違いありません。
空き家にしておく理由
- 物置として必要だから
- 解体費用をかけたく無いから
- 特に困っていないから
- 将来、自分や親族が使うかもしれないから
- 好きな時に利用や処分ができなくなるから
- 捨てられないものがあるから
- 更地にしても使い道が無いから
- 取り壊すと固定資産税が高くなるから
- 住宅の質が悪いから
- リフォーム費用をかけたく無いから
- 他人に貸す事に不安があるから
- 労力や手間をかけたく無いから
- 資産として保有しておきたいから
- 良い値で売れそうに無いから
- 良い値で貸せそうに無いから
出典:国土交通省「空家実態調査」より
空き家バンクが必要になるケース
でも、仮に放置していた空き家を売ったり貸したりする気になったとしても、普通に不動産業者に頼めば良いのに、と考えるかもしれませんね。でも、不動産会社に依頼できない場合も沢山あるのです。
例えば、不動産業者がほとんど、または全くいないような地域もあります。そのような地域で不動産を売却したり貸したりするのは困難です。
また、物件価格が低すぎたり、購入後に高額の維持費や改修費がかかる事が予想される為、買手が全くつかず、不動産業者も仕事にならないので扱わないというケースもあります。
ココがポイント
様々な理由で、通常の不動産流通市場に乗らないような空き家を紹介しているのが「空き家バンク」という訳です。
空き家バンクの現状と問題点
- 情報が一元化されていない
- 参加していない自治体もある
- 情報に鮮度と正確性が足りない場合がある
- 取引の方法が決まっていない
社会的に有用であり、また地方に移住したい人が物件情報を収集するのにも役立つ「空き家バンク」ですが、問題点も少なからずあります。
情報が一元化されていない
まず、各自治体が作って運営している「空き家バンク」と「全国版空き家バンク」に掲載されている物件情報は同じではありません。
例えば、自治体の空き家バンクに掲載されていても、全国版に掲載されていない場合があります。
全国版空き家バンクの情報は、基本的に自治体の空き家バンクの情報をもとになっているという事ですが、両方のサイトをチェックしてみると情報に違いがあります。
さらに、「全国版空き家バンク」のホームズ版とアットホーム版でも情報に違いがあります。
ココがダメ
今後どうなっていくのかわかりませんが、今の現状だと情報を網羅するには、全ての「空き家バンク」をチェックする必要があります。
参加していない自治体もある
2019年の国土交通省の発表によると、「全国版空き家バンク」に参加している自治体の数は603です。日本の自治体の総数は約1,700なので、全国版と言えども、まだまだ網羅していない地域があるという事です。
そのような地域の中には、独自の「空き家バンク」も設置していない自治体もあります。それらの地域の空き家情報を入手するのは困難です。
情報に鮮度と正確性が足りない場合がある
通常の不動産ポータルサイトは不動産業者が営利目的にで運営しているため、情報の速さや内容の正確さはある程度確保されています。
空き家バンクの物件情報は不動産業者ではなく自治体が主体となって収集しています。営利目的ではなく行政サービスとして行われています。
それが原因なのかは何ともいえませんが、情報の正確性や鮮度が低い場合があるという事が一部利用者から指摘されています。
実際に現地に行ってみたらすでに他の人に貸されていたとか、通常の不動産取引の常識では考えられないような条件があったり、話を進めようとしたら売主の条件がコロコロ変わってしまう、ということも一部ではあるようです。
取引の方法が決まっていない
自治体は不動産仲介業者ではないので、空き家バンクの役割は、あくまで情報提供までというスタンスです。
自治体によっては、物件情報を登録する前に、売主が指定の不動産業者と媒介契約を結ぶ必要があるところもあります。物件の登録は自治体が主体となって行い、契約がまとまった際に、指定の不動産仲介会社の利用が必要になる場所もあります。または、単に「個人どうしで契約の交渉をしてね」というところもあります。
ココに注意
特に不動産売買を行う場合には、個人間で全てを行うのは後でトラブルになる可能性がありお勧めできません。不動産仲介会社に契約の間に入ってもらうと安心です。
空き家バンクの上手な使い方
物件を探している人
- 空き家バンクは情報源の一つと考える
- 現地の不動産業者に協力してもらう事も大切
空き家バンクには、他の不動産サイトには載っていない物件の情報が載せられている場合があります。特に、地方の物件などを探す際にはチェックすると良い物件が見つかるかもしれません。
とはいえ、空き家バンクの無い地域もありますし、全ての情報を網羅しているわけではないので、その他の不動産サイトと併用して使う事をおすすめします。
また、物件探しはインターネットでもできますが、やはり地元の不動産業者には新しい情報が集まってくるものです。インターネットに公開する前に契約が決まってしまう物件もあります。
探しているエリアが固まっている場合には、積極的に地元の不動産会社ともコンタクトを取って、希望にあった物件が出れば紹介してもらえるような関係を作っておく事をお勧めします。
ココがポイント
本当に良い物件は、水面下で取引されてしまう事も多いという事を覚えておきましょう。「空き家バンク」は一つの情報入手経路と位置づけてその他の情報網も使って物件を探しましょう。
物件を売りたい、貸したい人
通常のルートで売却や賃貸をする事ができないかも考えておきましょう。空き家バンクに登録していても、通常のルートで不動産売却をする事はできます。
でも、もしどうしても不動産屋が扱ってくれないような物件場合には、空き家バンクが見方になってくれるはずです。積極的に自治体の担当部署へ問い合わせして手続きの仕方を聞いてみてください。
ココがポイント
通常の不動産売却をできないかも検討しよう。
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まとめ
- 空き家バンクは、地方の物件探しに有用な情報源の一つ
- 情報を網羅するには全国版、地方自治体版、各不動産ポータルサイトを見る必要がある
- 不動産屋が扱わない物件の売却、賃貸に空き家バンクは有効な手段
最後までお読み頂きありがとうございました。この記事の内容が少しでも皆様の役にたてば嬉しいです。
モトキ