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空き家問題とは?不動産市場に与える影響と対策を解説します【最新データあり】

2020年10月16日

悩んでいる人
空き家問題ってなに?なにが原因なの?

 

こんな疑問に答えます。

 

この記事を読むと分かる事

  • 空き家問題とは何かが分かります
  • 空き家問題の原因と、どんな影響があるのかが分かります
  • 空き家問題の現状と将来の見通しが分かります
  • 空き家問題に対して個人がとるべき対策が分かります

 

日本中で空き家が増えているというニュース報道をご覧になった事があるかもしれません。

この話題は、「空き家問題」として良く扱われています。でもこの問題は、単純に「空き家が日本中で増えている」という現象だけの事ではありません。

問題の根はもっと深いところにあります。

この記事では「空き家問題」について深掘りして解説していきます。「空き家問題」の現状や原因について深く知ると、不動産の今後の流れをつかめるようになります。

 

不動産を売りたい方、買いたい方、不動産投資をしたいとお考えの方にも役立つ内容ですので是非お読み頂ければ幸いです。

 

モトキさん
この記事を書いているモトキは不動産会社を10年ほど経営していました。このメディアではその知識と経験に基づいた暮らしと不動産に役立つ情報を発信しています。

 

 

空き家問題ってどんな問題?

  • 全国で使われていない空き家が年々増え続けているという問題

 

2013年に総務省統計局が「住宅・土地統計調査」というものを実施しました。この調査で、全国の総住宅数6,063万戸のうち、空き家は820万戸(全国の総住宅数の13.5%)ある事がわかりました。

この820万戸の空き家をさらに分類してみましょう。

 

空き家の内訳

  • 賃貸用住宅:429万戸
  • 売却用住宅:31万戸
  • 二次的住宅(別荘など):41万戸
  • その他の住宅:318万戸

 

最後の「その他の空き家」とは例えば、転勤、入院、死亡、転出などのために、長い間不在になっている家や、建て替えなどの為に取り壊す予定となっている空き家です。

この「その他の空き家」は、他の空き家と比べて管理が十分に行き届かないなどの問題があります。

 

「その他の空き家」は過去10年間で1.5倍、過去20年間では2.1倍となっており、その後も年々増え続けています。

 

空き家が増える事の弊害は?

空き家自体が増えている事も問題ですが、特にその中でも、適切な管理も利用もされていない「その他の空き家」が増えている事が問題視されています。

このような空き家が増え続けると、どんな事が起こってくるのでしょうか?

 

倒壊の危険

空き家が老朽化してくると崩れて近隣の家や通行人に被害を与える可能性が高まります。

家は、空き家になって人が住まなくなると劣化の進み具合が早くなります。弱くなった建物は何もなくても危険ですが、台風や地震などの災害が発生すると被害がさらに大きくなる可能性があります。

 

景観の悪化

空き家の外観はどうしても悪くなります。

管理されていない建物は、塗装が剥げたり、ヒビが目立ったりしてきます。管理されていない庭はすぐに雑草や庭木が伸びてきてうっそうとしてきます。

このような空き家があると、地域の景観が損なわれてしまいます。景観の悪化はその地域の不動産価格にまで影響を及ぼしてしまう場合もあります。

 

犯罪やゴミなど治安の悪化

空き家は景観を損なうだけでなく、不審者が侵入など、治安にも悪影響を及ぼします。敷地内にゴミが捨てられたり、新聞やチラシなどが溜まっていると放火の危険も増します。

 

空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)とは?

空き家が増加しているという現状を受けて、各都道府県や自治体が空き家を減らしていくための施策を始めました。2014年までに、401の都道府県および自治体が、独自に空き家条例を制定して、空き家の所有者に対して指導を行っています。

でも、条例だけでは、空き家の敷地への立ち入り調査の実施が難しかったり、所有者が不明の空き家も多く対処できない場合がありました。

また、空き家に問題は全国規模である事などから、国としての対応を求める声が高まり、2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家法)が施行されました。

この法律に基づいて、空き家の所有者の特定や、崩れる危険がある空き家などを「特定空家」に指定する事、空き家の所有者への助言・指導、勧告や命令も行えるようになりました。

 

さらに詳しく

「空き家法」によって、「特定空家」に指定されると、固定資産税の優遇措置がなくなり更地と同じ課税がされるため、土地の固定資産税が大幅に上がる事になります。さらに命令に従わない所有者に対して、50万円以下の過料を課す事ができるようになりました。そして行政が代わって空き家を取り壊す事(行政代執行)もできるようになりました。

 

空き家問題の現状はどうなっているの?

「空き家法」が2015年に施行されてから、空き家の問題は解決に向かっているのでしょうか?

「2018年住宅・土地統計調査」の内容を確認しましょう。

 

2018年住宅・土地統計調査

「住宅・土地統計調査」は総務省統計局が5年ごとに行ない集計しています。前回の2013年の調査結果と、2018年の調査結果を比較します。

 

  • 総住宅数:6,242万戸(179万戸増)
  • 空き家数:846万戸(26万戸増)
  • 空き家率:13.6%(0.4%増)

 

空き家の内訳

  • 賃貸用住宅:431万戸(2万戸増)
  • 売却用住宅:29万戸(1万戸増)
  • 二次的住宅:38万戸(3万戸減)
  • その他の住宅:347万戸(29万戸増)

 

モトキさん
国も各自治体も空き家を減らすために様々な対策をしているにも関わらず、空き家の増加に歯止めがかかっていないというのが現状です。

 

次に、都道府県別に空き家率を見てみましょう。

 

空き家率の高い都道府県

全国平均 13.6%
山梨県 21.3%
和歌山県 20.3%
長野県 19.5%
徳島県 19.4%
高知県 18.9%
鹿児島県 18.9%
愛媛県 18.1%
香川県 18.0%
山口県 17.6%
栃木県 17.4%

山梨県や長野県などは、別荘などの二時的住宅が多いため、空き家率も高くなっています。

 

空き家(その他の住宅)率の高い都道府県

全国平均 5.6%
高知県 12.7%
鹿児島県 11.9%
和歌山県 11.2%
島根県 10.5%
徳島県 10.3%
愛媛県 10.2%
山口県 9.9%
香川県 9.7%
宮城県 9.1%
三重県 9.0%

出典:平成30年度住宅・土地統計調査(総務省)

使われていない「その他の空き家」は、高知県や鹿児島県などで高い比率になっている事が分かります。

 

 

空き家問題の原因は何なの?

では、そもそも空き家問題の原因は何なのでしょうか?

 

少子高齢化

日本の人口は年々減っており、高齢化がますます進んでいます。この事が空き家問題の原因の一つです。

人口が減っていけば、単純にその分使われなくなる家は増えていきます。

 

実際、住宅の数は総世帯数に対して16%多く(2013年時点)充足しています。その上、毎月新たな住宅が建設されているため、使われない住宅は増え続けています。

 

高齢化の問題によっても空き家が生まれています。

例えば、高齢になった方が、家族と同居したり施設へ移るなどして、家を使わなくなり、そのままにしてしまう場合があります。

親が亡くなって子供が家を相続したけれど、自分たちもすでに家を所有しているために、実家をそのまま放置している場合もあります。

 

親の家や相続した家をそのままに放置してしまう理由は様々です。

以下はほんの一例ですが、空き家のまま放置してしまうケースが全国的に増えています。

 

  • 捨てられないものが多く、物置としてそのまま使っている
  • 心理的に売ったり貸したりしづらい
  • 家を取り壊すと固定資産税が上がるため
  • 高齢の親名義になっており処分がしにくい

 

 

地方の過疎化

人口減少と高齢化の影響は、まず地方に現れます。なぜなら、全体の人口が減っていけば、より生活がしやすい場所に人が残っていくからです。

生活関連のサービスは、ある程度の人口があって初めて成り立ちます。それで人口が減っている地域では様々なサービスが受けられない状況が生まれます。そうなると、そこに住むのは益々不便になります。

その結果として、住民がさらに流失していき、過疎化がどんどん進んでいってしまいます。このような過疎化のスパイラルが進行している地方では、放置された空き家が増えていきます。

 

新築住宅の供給が多すぎる

データが示している通り、日本にある住宅数は年々増え続けています。一方で日本の総人口は減り続けています。

 

2020年9月1日現在の日本の総人口は、概算値で1億2581万人です。前年同月に比べて32万人減少(▲0.26%)しています。

(出典:「人口推計」(総務省統計局))

 

このように人口は減り続けているのも関わらず、新たな住宅が建設され、住宅数は依然として増え続けています。でも、なぜこのような事が起きるのでしょうか?

その理由は、日本の住宅市場に構造的な問題があるからです。

第一に、日本では新築住宅の方が、中古住宅よりも圧倒的に人気があります。もちろん、人によって好みは異なりますが、日本人は全般的に新しい物(新品)好きで、特に住宅市場ではその傾向が強くあります。

また、日本の住宅市場に流通している中古物件の質の低さもあります。日本の住宅は、時間が経過しても価値が維持されたり、逆に上がっていくという事はまずありません。

むしろ、木造の住宅であれば、25年もすれば経済的な価値はほぼゼロとみなされます。実際に見た目の雰囲気も時間の経過とともに悪くなっていく場合がほとんどです。結果として、新築が選ばれる場合が多くなるのです。

 

少子高齢化の問題による人口の減少と、住宅の供給過多が相まって日本全体で空き家が増え続けているのです。

 

実際、地方だけでなく大都市でも空き家が増え続けています。意外に思われるかもしれませんが、日本で空き家が最も多い自治体は、東京都世田谷区で、次が東京都大田区です。

 

世田谷区といえば成城、大田区といえば田園調布など、高級住宅街が多いエリアというイメージがあるかもしれません。そのような場所でも空き家が増えているのです。

 

モトキさん
これらの地域には、そもそも住宅数が多いという事もありますが、これだけ住宅地として整ったエリアでも空き家が増えているという事は、これが日本全体の問題である事がわかると思います。

 

空き家問題にどんな対策をしているの?

国や自治体がこの問題を解決するために法制度を含めた様々な対策をしています。

 

空き家を流通させる取り組み

放置されている空き家は、不動産の流通市場から忘れ去られています。このような、不動産を流通させるために、空き家バンクを活用する取り組みがされています。

 

さらに詳しく

空き家を売買したい、貸し借りしたいという人へ物件情報を提供するため、国や自治体が「空き家バンク」というホームページで公開しています。空き家バンクには、全国版と各地の自治体が運営しているものがあります。

 

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空き家を解体し土地の有効利用を促す

所有者が管理状態の悪い空き家を取り壊すことを促進するために、様々な取り組みが制度が作らています。

 

解体後の固定資産税の減税

更地の固定資産税は、建物が立っている土地より高いので、解体を躊躇する人が多いです。放置された空き家の解体を促進するために、解体後の土地の固定資産税を減免する取り組みをしている自治体があります。

 

特定空き家に課税や過料を課す

空家法によって「特定空き家」に指定されると、固定資産税が上がったり、命令に従わない所有者に過料を課す事ができるようになりました。このような社会的な制裁により空き家を減らしていこうとする制度です。

 

行政が所有者に変わって取り壊す

これも「空家法」によって可能になりました。倒壊の危険があるような建物を、行政が所有者に変わって取り壊す事ができます。

 

地方都市の活性化

過疎地域への移住やUターンを促進するために、地方の自治体が中心となって様々な取り組みをしています。

 

中古住宅流通の活性化

良質な中古住宅を増やすことによって、新築重視の住宅市場を変えていこうとする取り組みがなされています。

その一つが、長期優良住宅の普及です。長期優良住宅と認定されると、税金面での優遇を受けられます。

 

さらに詳しく

長期優良住宅の制度は、長期に住める質の良い住宅を増やすことによって従来型の「作っては壊す」という社会から、「いいものを作って、きちんと手入れし長く大切に使う」という社会への転換を目的にしています。

 

空き家問題の今後の見通しは?

空き家問題を解決するために、国や地方自治体などが様々な対策を行っています。

でも、現状を見る限り今後も空き家は増え続けていく事が予想されます。

理由としては、今まで解説してきたように、この問題の原因はいくつかあり、しかも解決するのが難しい根深いものだからです。

 

少子高齢化、人口の減少の流れを止める事はできていません。また、新築思考の価値観をすぐに変える事もできません。さらに経済効果を考えれば新たな住宅の建設をすぐにやめるわけにもいきません。そして、すでに空き家になっている中古住宅の魅力や価値を劇的に上げるという事もできません。

 

ですから結論として、空き家は今後も増え続けていきます。

それで、この大きな流れの中で個人個人が判断し対処していく必要があります。

 

空き家を所有している人はどうすべきか?

現在、使わなくなった空き家を所有している人は、放置せず早めに処分や活用をする事を考えるべきです。

 

空き家の経済的な価値は、今後下がる事はあっても、上がることはありません。空き家を所有しているために起きる問題は増えることはあっても減ることはありません。

 

使っていない空き家を所有しているなら、処分するなり活用するなり何らかの対策を始めましょう。

相談先は、その空き家のある場所の不動産会社です。さらに、自治体のホームページなどで、空き家に対する何かの施策が行われていないかを調べてみましょう。解体費用に関する補助金や、空き家活用について、何らかの取り組みが行われているかもしれません。

 

ココがポイント

早急に空き家の処分や活用について考え始めるべきです。

 

空き家を探している人はどうするべきか?

空き家を必要としている人は、安価で入手する事ができるチャンスが来ているといえます。

空き家バンク、様々な不動産ポータルサイトから情報収集するようにしましょう。地方の空き家の場合、リフォーム費用の補助などがある場合もありますので自治体のホームページなども確認するようにしましょう。

 

ココがポイント

空き家バンクなどを利用すれば、掘り出し物を見つける事ができるかもしれません。特に地方は買い手市場になっています。

 

不動産投資家は空き家問題にどう対処するべきか?

最後に、不動産投資の観点で空き家問題について解説したいと思います。

不動産投資をしている人にとっても空き家の問題は気になるところではないでしょうか。

空き家問題の中には、放置されている空き家だけではなく、賃貸用住宅の空き家も増えているという現実があります。

つまり、賃貸住宅も余りつつあるというのが現状です。そのような経済的状況の中で、空室率を減らし賃貸経営をしていくには工夫が求められます。

 

今後は、賃貸住宅も、ますます人気がある物件とそうでない物件に二極化して行きます。人が集まるところにはますます人が集まり、そうでないところはますます人が集まらなくなるのです。

 

二極化は、地域や駅などといったエリアについても言えることです。とはいえ、賃貸経営をしている多くの方は、エリアを変えることはなかなか難しいと考えられますので、自分の物件のあるエリアできちんと入居者が集まる物件作りをしていく必要があります。

 

物件に差別化が求められる

家を借りる人の数は決まっています。その中でライバルの物件とパイの奪い合いをしなければなりません。

この熾烈な争いの中で勝ち上がるには、自分の物件が他の物件に埋れてしまわないための差別化をしていくことが必要です。

差別化できるポイントには、間取りや構造のような大きな部分や、壁紙や照明などのちょっとした事などたくさんあります。

そして、自分の戦っているエリアで何をすれば勝てるかを常に考える必要があります。

 

競争の少ないマーケットを見つけるべき

今後の賃貸経営には、会社の経営と同じように、自分の戦えるマーケットを見つけてその中で勝負する力が求められます。アパートをただ持っているだけで稼げる時代はすでに終わりつつあります。

ですから、競合がひしめいているマーケットで戦うのではなく、比較的ライバルが少ない場所を見つけて勝負する事です。

 

例えば、戸建の賃貸ニーズは意外にありますが、借りれる戸建物件が少ないエリアもあります。実際に戸建物件の賃貸経営で成果を上げている大家さんはたくさんおられます。

ニュータウンと言われるエリアには、旧公団が建てた、いわゆる団地がたくさんあります。そのような団地の多くはエレベーターがない建物が多く、高齢者が住むのは大変です。

実際、そのような物件ではたくさんの空き家が出ています。一方で、団地は日当たりなど住環境が良い場所が多く、子育て世代が住むには適しています。使われなくなった安価な団地を若い世代が好むように工夫してリノベーションすれば賃貸物件としても売買物件としてもニーズがあります。

 

ココに注意

団地の場合、周辺にURなどの賃貸物件がある場合、同じような内装では埋れてしまうので、やはり個性を出して差別化を目指すべきです。

 

最後に賃貸物件の差別化に使えそうなアイディアをいくつか紹介します。

  • ミニマリスト向け家具付き賃貸物件
  • 自然素材を使ったナチュラルな内装の物件
  • 壁や仕切りのない大空間の物件
  • 自転車が置ける土間がある物件
  • インターネット使い放題がついた物件

 

モトキさん
様々なニーズで賃貸市場を分けて考えていけば、個人の不動産投資家が戦える場所は十分あるはずです。

 

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まとめ

  • 空き家問題とは、全国的に空き家が増えていること
  • 空き家問題は解決の見通しが立っていない
  • 空き家問題の本質的な原因は少子高齢化と住宅市場の構造
  • 空き家を持っていたら早めに対策をした方が良い

 

今後、少子高齢化の流れは変わりそうにありません。

つまり、土地も家も余っていく方向です。

今後不動産は、人気と不人気に二極化し、全体としては間違いなく買手、借り手市場になります。

今から情報を収集し、賢く不動産という資産を活用、防衛していきましょう。

そのために役立つ情報をこのメディアでは引き続き発信していきます。最後までお読み頂きありがとうございました。

モトキ

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