こんな疑問に答えます。
この記事を読むと分かる事
- プロパンガスが高い5つの理由
- プロパンガスの料金を安くするための方法
冬になるとガス代が夏の2倍ほどに跳ね上がることもあり、「ガス代はどうしてこれほど高いのか」「どうしたらもっと節約できるか」頭を悩ませておられる方は多いと思います。
そこに、2017年4月に実施された都市ガス自由化の影響で増えた「都市ガスの方がプロパンガスより安い」という情報を見聞きすると、プロパンガスを使用されている方なら「うちは損をしているかも!」と不安になるかもしれません。
確かに、同じ量のガスを消費してもプロパンガスの方が都市ガスよりもガス代は高くなります。
しかし、それにははっきりとした理由があります。
理由がわかるなら、多く払わないといけないとしても気持ちが違いますし、少しでも損をしないために取るべき対策が見えてきますよね。
では、「プロパンガスの料金が高い理由」と「プロパンガスの料金を安くする方法」をわかりやすく解説していきます。
なぜプロパンガスの料金は高いの?
- ガス代は、電気代や水道代のように政府によって決められた価格ではないの?
- ガス会社によって基本料金や単価に差があるの?
- お風呂を沸かす、お湯を出す、料理をするなどガスを使用する用途は同じなのに、なぜプロパンガスの料金の方が高くなるの?
プロパンガスの方が都市ガスよりも高いと聞くと、上記のような疑問が一気に湧いてくるかもしれません。
これらの疑問を解決するためには、まず都市ガスとプロパンガス(LPガス)の違いを知る必要があります。
プロパンガスと都市ガスの違い
結論から言うと、プロパンガスと都市ガスでは、原料・輸入国・供給方法・供給エリア・料金システム・販売店など、ガス料金を決める要素ほぼ全てにおいて異なります。
家庭で使用する用途は同じでも、全く別の種類のものと考える必要があるのです。
これから、7つの違いを簡単にご説明しますね。
1.原料
プロパンガスの原料は、「プロパン」もしくは「ブタン」が主要成分の「液体石油ガス」です。
プロパンガスのことをLPガスとも呼びますが、それは天然石油ガスが英語で「Liquefied Petroleum Gas」と呼ばれることに由来しています。
単語の頭文字を取ると、LPガスになりますよね。
一方都市ガスの原料は、「メタン」が主成分の「液化天然ガス」です。
よほどガスに詳しい人でない限り、原料や主成分の違いを聞いてもピンとこないと思いますし、これらの専門的知識を掘り下げてもガス代の節約には直接繋がりません。
ただ、プロパンガスと都市ガスでは、異なる原料を使用している、違う種類のガスということだけは覚えておいてください。
2.輸入国
原料が違うということは、当然ながら仕入先も異なります。
プロパンガスの液体石油ガスも、都市ガスの液化天然ガスも、日本国内では必要量が賄えないので、海外からの輸入に頼っています。
つまり、外国から仕入れています。
2017年の調査によると、「プロパンガス」の主な輸入国は、オーストラリア(32.3%)・マレーシア(16.8%)・カタール(11.2%)です。
「都市ガス」は、カタール(14%)・アビダブ(12.4%)・クウェート(11.1%)・サウジアラビア(11.4%)となっていました。
このようにプロパンガスと都市ガスでは、メインにしている仕入先が異なります。
輸入国の違いも原料のように、私達の毎月のガス代と直接繋がるイメージはないかもしれませんね。
しかしながら、原料や輸入先が違うということは、ガス単価や輸送費など、ゆくゆくは私達が支払うガス料金に影響を与える価格も異なることは想像できますよね。
3.供給方法
ここでいう供給方法とは、ガス会社が各家庭にガスを届ける方法のことです。グッと身近な話になってきましたね。
プロパンガスは、液化したガスを「ガスボンベ」に詰めて、そのガスボンベを各家庭に配送し取り付けます。一般家庭の裏庭に取り付けられたガスボンベを目にしたこのある方も多いことでしょう。
一方都市ガスは、地下に配置されている「ガス導管」を通して、各家庭に届けられます。ガス導管は、各家庭の希望で自宅まで引けるものではなく、東京ガスなどの大手都市ガス会社が保有しているもので、彼らがどこにガス導管を通すかを決定します。
ですから、必然的に供給エリアが限られてきます。
4.供給エリア
プロパンガスは全国どこでも利用できるのに対して、都市ガスはガス導管が配置されているエリアのみ利用できます。
ガス導管を引くのに莫大な初期費用が発生するので、どうしてもその費用を回収できる見込みのある世帯が密集している場所、つまり都市部だけにガス導管が配置されています。だから都市ガスと呼ばれているのです。
ポツンと一軒家のような田舎や隣の家までの距離があるような郊外では、ガス会社側にメリットがないので、住民が都市ガスの利用を望んだとしても、都市ガス会社がガス導管配置工事を行うことはまずありません。
一方、プロパンガス会社はどんな辺鄙な場所でも届けてくれます。
5.料金システム
プロパンガスは以前から、基準となる価格が存在しない「自由料金制」です。
ですから、各プロパンガス会社が好きな値段を設定し、お客さんに請求することができます。
その代わり、消費者の方もプロパンガス会社を選ぶこともできます。
一方都市ガスは、2017年4月まで、政府によって価格が決められる「規則料金制」でした。
ですから、どの都市ガス会社も、勝手に販売価格を決めることができず、定められた基準に基づき一律の価格設定を行なっていました。
会社ごとの料金差がない代わりに、消費者が会社を選ぶことはできず、住んでいる地域ごとに契約する都市ガス会社が指定されていました。
2017年4月1日から都市ガスも自由化されましたが、今でも規則料金制の価格が継続されている状態で、自由化前とほぼ変わらない料金設定をどの都市ガス会社も行なっています。
6.販売店
ここまでで、「プロパンガス会社」や「都市ガス会社」と紹介してきたので、すでにお分かりだと思いますが、プロパンガスと都市ガスでは、販売店であるガス会社が異なります。
全く違う商品を扱っているわけですから、販売店が違うのは当たり前なのですが、家庭での用途が同じなだけに「ガス会社」と捉えやすいので気をつけましょう。
プロパンガス会社は、プロパンガスだけを扱い、大小合わせて全国に20,000社ほど存在しています。
都市ガス会社は、大手がほぼ独占している状態で、全国でも200社ほどしかありませんが、何れにしても都市ガスのみを販売しています。
7.ガス器具
違い1でご紹介したように、プロパンガスと都市ガスでは原料が異なるので、発熱量も異なります。
プロパンガスの主成分であるプロパンやブタンは熱量がとても高く、メタンが主成分の都市ガスの約2倍ほどです。
よって、使用できるガス器具も異なります。
ですから、引越しなどによってプロパンガスから都市ガスの家に引っ越したら、ガスコンロなどは変更する必要があります。
さらに、メタンは空気よりも軽いので、都市ガスの場合はガス探知機が天井などの高い位置に設置されていますが、プロパンガスの場合は、空気よりも重いので低い位置に設置されています。
あげようと思えばプロパンガスと都市ガスの違いはまだありますが、この7つの項目だけでも全く別物であることがお分かりいただけたと思います。
この両者の違いをはっきりと認識することによって、ガスの種類によってガス料金が異なって当然であることがわかってきます。
でも、プロパンガスを利用されている方は、「違いがわかったけど、どうしてプロパンガスの方が高いの?」と、まだ腑に落ちない気持ちを抱いておられるかもしれません。
そこでここからは、これまでに考えたプロパンガスと都市ガスの違いをベースに、プロパンガスの方が高い理由についてご紹介したいと思います。
プロパンガスの料金が都市ガスよりも高い理由
プロパンガスのメリットはあるにしても、結果的にガス料金が高くなってしまう理由は主に5つあります。
1.配送費
先ほどの供給方法でご紹介したように、プロパンガスはガスタンクに液化石油ガスを詰めて、車で一軒一軒に配送します。
つまり、ガスボンベの交換の度に、配送用の車の費用やガソリン代がかるのです。
一般家庭の場合、通常、ガスボンベは2ヶ月に1度交換されます。どの世帯も大体同じペースになるように、世帯人数や使用量に応じてガスボンベのサイズを20kgか50kgのどちらかで設置されていますが、毎回の配送費用は大きなコストであることに変わりありません。
一方都市ガスは、初期費用はかかるとはいえ一度ガス導管が整備されたなら、常にガス導管使用して供給されるので配送する必要はありません。
これは大きな差ですよね、都市ガスには発生しない配送費が、プロパンガスの料金には上乗せされてしまうのです。
2.人件費
皆さんも、トラックにたくさん乗せられたガスタンクを下ろして、運んでいるお兄さんを一回はみたことがあると思いますが、プロパンガスの配送は、人の手によって行われます。
どこのプロパンガス会社でも、2ヶ月に一度のガスタンクの交換は、プロパンガス会社の人が車を運転して各家庭を回り、新しいガスボンベを設置し、古いガスボンベを持って帰ります。
ですから、先ほど考えた配送費にプラスして、人件費もプロパンガス利用者は支払わなければなりません。
実際、都市ガスには発生しないこの配送費と人件費が、プロパンガス小売価格の60%ほどを締めているそうです。
プロパンガスが都市ガスよりも高い主な理由が判明しましたね。
と言っても、これらのコストは必要枠ですので、プロパンガス会社がガス料金に上乗せするのはやむ得ないことです。
3.自由料金制
プロパンガスの料金は、ずっと昔から自由料金制ですから、価格設定は各プロパンガス会社に任されていました。
もちろん、自由といってもプロパンガス業界の平均的な価格というものは存在していましたが、規制がないのを良いことに、業界全体が一意団結し、価格の底上げをしていたのも事実です。
それに加え、平均よりも高い単価設定を行なったり、本来なら必要ない設置費用を請求したりする悪徳な業者も少なからず存在していました。
このようなことは、残念ながら現在も行われていますので、契約するプロパンガス会社によって同じガス使用量でも料金が全く異なるということがあります。
4.不透明な料金
プロパンガス業界の風習として、「ガス単価を公表しない」「価格競争をしない」「広告を出さない」という消費者にとっては嬉しくないものがあります。
料金システムや単価をうやむやにして、みんなで儲けようというわけです。
ガスは目に見えるものでもありませんし、発熱量や重さを言われても素人にはピンとこないので、業者が料金を不透明にしやすいことも関係しているのでしょう。
ガス単価や料金プラン、他社との比較をしているプロパンガス会社は皆無と呼べる状態で、プロパンガス会社のホームページ出会ったとしても表記されているところはまずありません。
徹底して価格を伏せて、お客を取り合うのをやめようという業界のカラーがよくわかります。
5.利用者の無知
プロパンガス料金が高いのは、プロパンガス会社だけの責任とも言い切れません。
プロパンガスを利用している家庭のうち、プロパンガス会社を自分で選べると知っておられる方はどれほどいらっしゃるでしょうか。
家を建てた時に契約したプロパンガス会社を、何も考えずに利用し続けていませんか?
不動産屋に勧められた会社だからと、安心しきっていませんか?
確かに、ガス料金は公共料金のようなイメージが強いですし、日本全国で65%の世帯が、2017年の4月まで自分で選ぶことができなかった都市ガス利用であったことを考えると、上記のように考えるのも無理がないのかもしれません。
しかし、それではいけません!
大変とは言え、調べたら確実に各会社の料金システムやサービスを知ることができますし、お得な会社に乗り換えることもできるのです。
ですから、知らないままで損をするのはやめて、早速、安くなる方法を実践してみましょう。
プロパンガスの料金はどうやったら安くできるの?
ここからは、目が開かれてきたプロパンガス利用者の方のために、ガス料金を安くする方法をご紹介します。と言っても、お湯の温度を下げるなどの節約方法をご紹介するわけではありません。
ズバリ!「プロパンガス会社を選ぶ」ことがプロパンガス料金を安くする秘訣です。
先ほどご紹介したように、プロパンガス会社は全国に20,000社もあります。プロパンガス会社の選択肢は多いのです。
しかし、長年による業界の暗黙のルールによって、料金が底上げされ、利用者によくわからないようになっていましたし、会社は選べないものというイメージもつけられていました。
でも本当は、プロパンガス利用者は、プロパンガス会社の価格やサービスの内容をきちんと説明してもらい、比較検討して自分が好きな会社、もしくはもっと安くなる会社を選ぶことができるのです。
そこで役立つのが、「プロパンガス会社切り替え無料相談サービス」です。
数あるプロパンガス会社を一軒ずつ自分で調べるより、たくさんのプロパンガス会社の情報を持っている中立なサービスを利用すると、自分のエネルギーや時間を最小限にとどめて、効率的に会社を絞ることができます。
インターネット上に、色々な比較サイトや無料相談サービスサイトがありますのでぜひご活用ください!
配送コストなどにより都市ガスよりもプロパンガスが高くなるのは仕方ないとしても、プロパンガス会社を賢く選ぶことによって、ガス料金を今よりも下げることができるでしょう。
まとめ
- プロパンガスと都市ガスはガスもシステムも別物
- プロパンガスの方が料金は高くなりがち
- プロパンガスは会社を変える事で安くできる