土地を売却する時の費用はどれくらい?
こんな疑問に答えます。
この記事を読むと分かる事
- 土地を売却した時にかかる費用は何かが分かります
- 土地を売却した時、どんな場合にどれくらいの費用がかかるか目安が分かります
この記事を書いている宅建士のモトキは、不動産会社を経営者兼店舗責任者として10年ほど運営していました。このメディアでは、暮らしと不動産に関する有益な情報を提供しています。
土地を売却するのに必要な費用は?
土地を売却する時の費用は、次の二つの種類に分けられます。
- 税金
- 諸費用
税金
まず、税金は誰もが払わなければいけないもの、と言うイメージがありますよね。
土地を売却した時の税金の主なものは、どんな場合でも払う必要があるわけではありません。
少なく抑える方法もあり、全く払わなくても良いケースもあります。
諸費用
税金以外に掛かる諸費用にはいくつかの種類があり、必ず必要な費用もあれば、そうでない費用もあります。
諸費用の種類と、それぞれの費用が必要な場合とそうではない場合、そしてその金額の目安を解説していきます。
土地の売却にかかる費用一覧
まずは、土地を売却する時にかかる費用を一覧にします。
内容 | 時期 | 支払先 | |
1.仲介手数料 | 契約時・決済時 | 不動産会社 | ○ |
2.印紙税 | 契約時 | 税金(契約書に印紙貼付) | ○ |
3.登記費用 | 決済時 | 税金・司法書士 | △ |
4.測量費用 | 決済前 | 土地家屋調査士 | △ |
5.建物解体費用 | 決済前 | 解体業者 | △ |
6.引越し費用 | 決済前 | 引越し業者 | △ |
7.所得税・住民税 | 売却の翌年 | 税金(税務署へ確定申告) | △ |
○必ず必要な費用 △必要な場合がある費用
ココがポイント
土地の売却に必ず掛かる費用はさほど多くありません。
1.仲介手数料
仲介手数料は、諸費用の中で一番大きな割合を占める可能性があります。
仲介手数料とは、土地を売買する時に、売主と買主の間に入って取引を取りまとめる不動産会社に支払う報酬です。
不動産会社に土地の売却を依頼すると、不動産会社は買主を探すために広告活動をします。買主が見つかったら、土地の売買契約書と重要事項説明書を作成します。
不動産会社は、土地について、買主にきちんと説明する責任を負います。売主に聞いたり、役所を回って法律関係を調べたり、現地や近隣を回って、物件について細かく調査をします。
そのような不動産会社の活動に対する報酬が仲介手数料です。
仲介手数料には、上限額が定められています。
成約価格×3%+6万円+消費税=仲介手数料の上限
仲介手数料について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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仲介手数料がかからない場合
稀ではありますが、仲介手数料が不要な土地の取引も存在します。
業者が土地を買い取る時
不動産会社が土地を買い取る場合で、仲介会社を間に入れずに直接不動産会社と契約する場合には、仲介手数料はかかりません。
そのような場合には、仲介手数料はかかりませんが、仲介で一般の人に売る場合と比べて売買金額はかなり安くなるのが普通です。
個人間で土地を売却する
隣の人や親族に土地を売る時など、個人間で土地を売却する場合には、仲介手数料は発生しません。そのような場合でも、売買契約書などはきちんと作成するべきです。
ココに注意
一般の人には、正確に契約書類を作成するのは少し難しいので、書類作成だけでも専門家に依頼した方が、後々のトラブルを防ぐためにも良いと思いますよ。
仲介手数料は必要経費
土地を一般市場で売ろうと考えた場合、不動産仲介会社の助けを借りずに売るのは不可能です。
仲介手数料は必要経費として割り切るようにしましょう。
2.印紙税
印紙税は、印紙税法で決められた文書に課税されます。
土地の売買契約は課税文書なので、契約書に収入印紙を貼付して支払います。
印紙税の税額は、売買契約の金額によって決まっています。
契約金額 | 税額 |
100万円超500万円以下 | 2,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 |
1億円越5億円以下 | 10万円 |
ココがポイント
印紙税は契約書を作成したら必ず必要な税金です。
もし契約書に印紙を貼らなかったら?
契約書に印紙を貼らなくても契約が無効になるような事はありません。契約の有効性と税金の支払いは無関係です。
とはいえ、払わなければいけない税金を支払っていないのですから、過怠税が課せられる可能性があるので注意が必要です。
ココに注意
売買契約書は、土地を売った年の翌年に確定申告をする場合、税務署にコピーを提出する必要があります。
3.登記費用
登記とは、土地の権利関係を法務局に登録する手続きの事です。土地を売却する時は、土地の名義を新しい所有者に移転する手続きを行います。
通常、この所有権移転の登記は、買主の費用負担で行いますので、売主が登記費用を負担する必要はありません。
売主側が登記費用を負担する例
売主が負担しなければならない登記費用の例は以下です。
住所や氏名変更が必要な場合
登記上の住所や氏名が現状とずれている場合には、現状に合わせて登記し直してから、名義の移転をしなければなりません。その部分の登記費用は、売主が負担します。
抵当権などの用益権の抹消
土地に抵当権などの権利が登記されている場合、それらをきれいに抹消してからでなければ、買主に所有権を移す事はできません。
厳密にいえば、抵当権が付いていても移す事はできるのですが、誰も抵当権がついたままの土地を買う人はいません。売買契約書にも、「土地の引き渡しまでに抵当権などを抹消する事」と明記されているはずです。
登記費用
内容 | 金額 |
抵当権抹消登録免許税 | 不動産1筆につき1,000円 |
住所氏名変更登録免許税 | 不動産1筆につき1,000円 |
報酬 | 20,000円から30,000円 |
4.測量費用
土地の境界が曖昧だったりなかったりする場合、隣地との境界を確定をする必要があります。
境界がはっきりしていないと、売買対象の土地の範囲がわからないですよね。それで、売主がきちんと境界を確定してから、買主に引き渡すのが原則になります。
大まかな測量費用 (40から50坪程度の一般的な宅地の場合)
種類 | 金額 | 内容 |
現況測量 | 15万円から20万円 | ブロック塀や建物など現状の土地の状況をそのまま反映させた測量。 |
確定測量(官民査定なし) | 30万円から50万円 | 隣地所有者の立ち合いのもとで土地の境界を全て確定させる測量 |
確定測量(官民査定あり) | 40万円から60万円 |
料金はあくまで参考です。測量費用は、土地によってかなり差が出ます。実際の金額は土地家屋調査士現場を確認した上で見積する必要があります。
さらに詳しく
売買契約の内容によっては、特約で売主の境界非明示としたり、現況有姿、公簿売買とする事もあります。
土地の単価が安くて広大な土地の売買などでは、売買代金と測量費用のバランスが悪いため(売買代金の割に測量費用が高すぎる)このような特約をする場合もあります。
5.建物解体費用
建物が建っている土地を売却する場合、売主が建物を取り壊す必要がある場合があります。
古家付きで土地を売却する方法について詳しくはこちらの記事をご覧ください
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建物の解体費用は、建物の構造や地形などによってかなり差が出ます。
建物解体費用の目安
構造 | 坪単価 |
木造 | 30,000から40,000円 |
鉄骨造 | 40,000から50,000円 |
RC造 | 50,000から80,000円 |
業者が現地の状況を確認しなければ正確な金額は出ませんので、上記の費用はあくまで目安としてお考えください。
進入路が狭いと作業がしにくいため費用が上がります。また、重機が入らない場所などは、通常の解体費用では対応できない場合があります。
地下などがある場合には、その部分の解体費用が別にかかる場合があります。建物にアスベストが使用されている場合、飛散防止の処置をする必要があるため、解体費用はかなり高額になります。
6.引越し費用
土地上に建物があり、売却に際して引越し費用が必要な場合にのみかかります。
引越し費用は、家財の量と引越しの時期によってかなり差が出ます。見積もりは数社に一括で見積もりをするのがお勧めです。
7.所得税・住民税
土地を売却した翌年に確定申告をして納税します。土地を売却して所得税と住民税がかかるのは、売却益が出た場合のみです。
売却益(譲渡所得)は以下の式で算出できます。
譲渡所得 = 売却価格 ー(取得費+譲渡費用)ー 特別控除
土地を売っても、上記の計算式で譲渡所得がマイナスの場合には、所得税・住民税はかかりません。
譲渡所得がある場合には、その部分に対して税金がかかります。
税率は以下になります。
種類 | 所得税 | 住民税 |
長期譲渡所得 | 15% | 5% |
短期譲渡所得 | 30% | 9% |
土地を売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」5年以下の場合は「短期譲渡所得」になります。
所得税と合わせて、所得税額に2.1%をかけて計算した復興特別所得税がかかります。
譲渡所得を計算するには、取得費などを算出する必要があります。はっきりしない場合は、税金がかからないと自己判断せずに、税務署や専門家に相談するようにしましょう。
土地を売却した時に掛かる税金について、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
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まとめ
- 土地を売却して必ずかかる費用は仲介手数料
- 土地を売却しても登記費用はかからない場合が多い
- 土地を売却した時の諸費用を知るには見積もりが必要
- 土地を売却して所得税がかかるのは譲渡所得がある場合