不動産 不動産売却

【2020年版】相続した不動産を上手に売却する方法と税金の知識を説明します!

2019年9月17日

モトキさん
こんにちは。元不動産屋の店長で宅建士のモトキです。
今回は相続した不動産の売却と税金のお話です。

64才女性

母の不動産を相続したのですが、使う予定がないので売却して兄弟と分けたいのですが、どうしたら良いでしょうか?

57才男性

相続した不動産を売却したあとどんな税金がかかるのでしょうか?また控除や特例など、税金を安くする方法はありますか?

 

モトキさん
この記事ではそんな疑問に答えていきます。大きく分けて3つのポイントで解説します。
  1. 不動産を相続した場合にかかる相続税について
  2. 相続した不動産を売却した場合の税金と控除の特例について
  3. 相続した不動産の賢い売り方について

 

それでは、詳しく説明していきます。

 

1.不動産を相続した場合にかかる相続税って?

相続税の基礎知識

まず最初に、相続の基礎知識について簡単に解説します。

相続とは、ある人が亡くなるとその人の財産を特定の人が引き継ぐ事を言います。財産を引き継ぐ人は主に配偶者や子供などです。

引き継ぐ財産は不動産や預金などもあれば、借金などの債務もあります。

この「相続」は誰にでも起こりうるものですが、「相続税」は誰もが払う必要があるわけではありません。

相続税がかかるのは一定以上の財産がある場合です。つまり、遺産の額が相続税の基礎控除を超えている場合です。

 

基礎控除額 = 3,000万円 + 法定相続人の数 × 600万円

 

例えば、相続人が子供二人であれば、3,000万円+2×600万円=4,200万円が基礎控除の額になります。

相続財産が、この基礎控除の額を超えると相続税がかかります。

ちなみに、以前は控除の枠がもっと大きかったのですが、平成27年の改正で今の形に変更になりました。

これからは相続税がかかる人が増えてくるのではないでしょうか。

相続税を計算するには、全ての遺産を調べて総額を算出しなければなりません。預貯金や生命保険などは、金額があるのですぐに計算することが可能です。

では不動産はどうでしょうか?

 

不動産にかかる相続税の計算方法

不動産を相続した場合にどのように相続財産の価格を計算するのでしょうか?相続税の計算のための不動産評価額は、国が定めた「相続税路線価」に基づいて算出します。

土地であれば、その土地の面している道路の路線価 ×㎡数で算出できます。路線価が設定されていない地域では「固定資産税評価額」に一定の倍率をかけて算出します。

計算の基準となる路線価はこちらで調べられます。国税庁:財産評価基準書

建物の相続税評価額は「固定資産税評価額」をそのまま使います。また、もしその不動産を賃貸している場合には、借地権割合を差し引くことができるので、評価額を少し安くできます。

このようにして、相続した不動産の相続税評価額を算出することができます。

もし、不動産の評価額とそのほかの遺産の合計額が基礎控除の額を上回るのであれば、そのオーバーした部分に相続税がかかります。

ココがポイント

相続税の評価は実際に不動産が売れた価格ではなく、あくまで路線価に基づく評価額で計算します。

 

2.相続した不動産を売却した場合の税金と控除について

 

では次に、相続した不動産を実際に売却した場合の税金について考えていきましょう。

相続した不動産を売却した場合に発生する税金で主なものは、所得税と住民税です。ただし、この「所得税」と「住民税」、不動産を売却したら必ずかかるわけではありません。

税金が発生する場合は、不動産を売却して「譲渡所得」が出る場合です。もっと簡単にいうと、不動産を売って利益が出た場合です。

譲渡所得は以下の式で計算できます。

 

【譲渡所得の計算式】

 

上記の計算式で計算して譲渡所得が発生する場合、所得税と住民税が課税されます。税率はその不動産の所有期間によって変わってきます。

不動産を売った年の1月1日の時点で、その不動産の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」に、5年以下の倍は「短期譲渡所得」になります。

所得税 住民税
長期譲渡所得(5年超) 15% 5%
短期譲渡所得(5年以下) 30% 9%

※上記所得税に対して2.1%の復興特別所得税が加算されます。

 

ココがポイント

【所有期間の判定】

譲渡所得の税率を左右する、所有期間の判定基準となる取得日は、相続人が不動産を取得した日ではありません。

被相続人(亡くなった方)の取得の日が相続人に引き継がれます

 

譲渡所得の計算方法については、こちらの記事で詳しく説明していますので、よろしければご覧ください。

 

相続した不動産を売却した場合の取得費の特例

上記の譲渡所得計算式で、相続した不動産を売った金額からその不動産を取得した価格、費用を差し引くことができるのがお分かりいただけると思います。

つまり取得費が大きければ大きいほど、税金が発生する所得が少なくなり払う税も少なくなるわけです。

相続した不動産を売却した場合で、相続税を払っている場合には、その相続税の金額を取得費に含めることができます

この特例を受けるためには次の条件を満たしている必要があります。

適用条件

  1. 相続や遺贈により財産を取得したものであること
  2. その財産を取得した人に相続税が課税されていること
  3. その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内を経過する日までに譲渡していること

 

取得費に加算できる相続税額は、以下の式で計算します。

計算式

取得費に加算する相続税額 = その者の相続税額×[その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の価額÷(その者の相続税の課税価格+その者の債務控除額)]

 

この特例の適用を受けるための手続き

この特例の適用を受けるには、確定申告をすることが必要です。

確定申告書には以下の書類を添付することが必要です。

添付書類

  • 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書【土地・建物用】)
  • 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書

 

相続した不動産を売却した場合の3,000万円特別控除の特例

相続または遺贈によって取得した不動産で、被相続人(亡くなった方)がマイホームとして使っていた建物や土地を売却した場合で、一定の条件に当てはまる場合には譲渡所得から最高で3,000万円まで控除することができます。

これを「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」と言います。

適用条件

1.平成28年4月1日から令和5年12月31日までに売却すること
2.相続の開始直前において被相続人の居住用住居に使用されていた家屋※で次の3つの条件にあてはまること

  • 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
  • 区分所有建物登記がされている建物ではないこと(マンションは不可)。
  • 相続開始の直前において被相続人以外に居住していた人がいなかったこと。

3.売却する被相続人居住用家屋は次の条件に当てはまることが必要です。

  • 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住のように供されていたことがないこと。
  • 譲渡時において一定の耐震基準を満たすものであること。

4.被相続人居住用家屋の全部の取り壊しをした後でその敷地を売却する場合には、以下の条件に当てはまることが必要です。

  • 相続の時から取り壊しの時まで、事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと。
  • 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと。
  • 取壊しの時から譲渡の時まで建物または構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。

5.相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること

6.売却代金が1億円以下であること
7.売却した家屋や敷地について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
8.同一の被相続人から相続または遺贈で取得した不動産でこの特例の適用を受けていないこと
9.親子間や夫婦間など特別な関係がある人に売ったものではないこと。

※相続開始の直前においてその家屋に居住していなかったとしても、被相続人が要介護認定などを受けて老人ホームに入居するなど、特定の理由がある場合で一定の条件を満たす場合には被相続人の居住用家屋と認定できます。

詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。
【被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋】

 

この特例の適用を受けるための手続き

この特別控除の適用を受けるためには、確定申告が必要です。

確定申告書には以下の書類を添付する必要があります。

添付書類

被相続人居住用家屋または家屋とともにその敷地を売った場合

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告付表兼計算明細書)[土地・建物用]
  • 家屋と土地の登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 被相続人居住用家屋確認書
  • 建物の耐震適合証明書または建設住宅性能評価書の写し
  • 不動産売買契約書の写し

被相続人居住用家屋の取り壊しをした後にその敷地を売った場合

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告付表兼計算明細書)[土地・建物用]
  • 土地の登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 不動産売買契約書の写し
  • 被相続人居住用家屋確認書

 

さらに詳しく

  • この特例を適用するためには、被相続人居住用家屋が空き家になってから賃貸に出すなど、事業として使ったり、誰かが居住していた実態があると適用できません。建物を取り壊して土地として売る場合には、建物取り壊し後も誰かに貸したら、他の建物を建てたりした場合には適用できないので注意が必要です。
  • この特例を受けるには、建物の耐震適合証明書または建設住宅性能評価書の写しが必要になります。

この制度について、詳しくは国税庁のHPをご確認ください。

【被相続人の居住用財産(空き家)を売った時の特例】

 

3.相続した不動産の賢い売り方について

相続してから不動産は少なくとも3年以内に売りましょう

不動産を相続した後、特に利用しないまま放置してしまうケースがあります。

その家に思い出があってなかなか売却する気にならないといった場合や、相続人が複数いてどうするか話がまとまらずに時間が経ってしまうという事もあります。

でも、相続した不動産をそのままにするのはデメリットが多くおすすめできません。

 

相続した不動産を放置するデメリット

1.建物の劣化、火災や災害などで資産価値が下がるリスクがあります。
相続した不動産に建物がある場合、その建物に住む人がいなくなって空き家になると劣化が急激に進みます。建物の資産価値がどんどん下がっていきます。

また、火災や災害などのアクシデントによって、その不動産自体が損害を受けるリスク、隣接地の建物や通行人に対して損害を与えてしまうリスクも存在します。

2.土地の違法な占有や境界の喪失してしまう可能性があります。
長い間、不動産が利用されずに空家や空地になっていると、どこからともなくゴミや荷物が運ばれてきて置かれてしまったり、他人が勝手に物や車を置いたりするなど違法に占有を開始するリスクがあります。

また、故意または過失によって、隣接地のとの境界が曖昧になってしまったりする事もあります。

3.控除の特例などが使えなくなり、税金が高くなる可能性があります。

例えば「被相続人の居住用財産(空き家)を売った時の特例」の適用を受けるには、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります。

また「相続税が取得費に加算される特例(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)」の適用を受けるためには、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する前に売却をする必要があります。

ちなみに、相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。

それで、相続した不動産を使っていないのであれば、問題を先延ばしにしないで売却を考えてみることをお勧めします。

不動産売却の第一歩は物件の価格を知る為の「査定依頼」です。査定には無料の一括査定サイトを使うのがおすすめです。

こちらの記事で一括査定サイトの選び方や賢い使い方を詳しく説明していますので、もしよろしければどうぞご覧下さい。

 

遺産分割の方法と割合は事前に決めましょう

相続財産の分割方法を決めるときに、不動産もどのように分割するか決める必要があります。

分割の方法はいくつかあります。

例えば、相続した不動産が複数ある場合、Aという不動産は兄、Bという不動産は弟、というように分ける事もできます。
また1つの不動産を分割して2分の1を兄、2分の1を弟というように分ける事もあります。これを「現物分割」と言います。

また、分割対象である遺産を先に売却してお金に変えてから、相続人間で分ける方法を「換価分割」と言います。

この方法で分割すれば、公平に相続財産を分けることができ、不公平が生じることが少ないので、争いも起こりにくくなります。

相続には、いくつもの状況が考えられますので、どの方法が良いとは一概には言えません。相続人の状況や希望に合わせて分割方法を決めていく事になります。

ここからは、相続人が複数いて不動産を売却してから、その売却代金を分割するという「換価分割」を前提にお話ししていきます。

 

まず最初に相続した不動産の分割割合を決めましょう

遺産分割協議によって相続財産の分割割合を決める場合には、できるだけ不動産の売却活動を始める前に決めておくと良いでしょう。

不動産は、実際に売却をしてみないと、幾らになるか正確には分からないため、まず売却をしてその後に分割の割合を決めるケースもあります。
でも、スムーズな売却活動を目指すのであれば、分割の割合は事前に決めておいた方が、交渉の際の意思決定が早くなり良いです。

 

不動産売却の窓口となって動く人を選任しましょう

相続人が複数いる場合には、不動産売却の窓口となって動く人を選んでおきましょう。

不動産会社や買主との折衝などを相続人全員で行おうとすると、話が進まなくなりがちです。
不動産売却の場面では、買主から価格や条件面の交渉が入ることがよくあります。
相続人が複数いる場合には、皆の意見をまとめる必要がありますので、どうしても判断が遅くなってしまい、良い買手を逃してしまうことがあります。

売却の窓口となって動ける人を選任できれば、そのような事を避けられスムーズな売却活動が行えるでしょう。

窓口となる人を決める場合には、売却の際の条件などを事前によく話し合っておく必要があります。

例えば、不動産売却活動の中で、土地の測量や建物の解体などの費用が発生する場合があります。
不動産売却後に売却代金から精算するとしても、事前に費用を誰かが建て替えて支払う必要が出てくるケースもありますので、そういった場合の対応も事前に話し合って決めておきましょう。

 

最低売却価格を事前に決めておきましょう

この価格までであれば、不動産を売却しても良いと思える最低価格を相続人同士で話し合って事前に決めておきましょう。

そのためには、皆がその不動産の正しい相場を知っておく必要があります。

不動産の正しい相場を知るには複数の不動産会社に査定をしてもらう必要があります。一括査定サイトを利用すると簡単にしかも無料で複数の不動産会社に査定を依頼できます。

査定サイトの上手に使うにはコツやポイントがあります。不動産の査定を上手にする方法は、こちらの記事で詳しく解説していますのでもしよろしければご覧下さい。

おすすめ
【2020年完全版】失敗しない不動産一括査定サイトの選び方

この記事を読むと分かる事 不動産一括査定サイトを使うメリット・デメリットがわかります 不動産一括査定サイトの使い方のコツがわかるようになります あなたにぴったりの不動産査定サイトが選べるようになります ...

続きを見る

 

まとめ

  • 相続税は基礎控除を超えた部分にかかります
  • 相続した不動産を売却した場合に税金がかかるのは譲渡益が生じた場合です
  • 相続した不動産を売却した場合に使える控除の特例があるので適用できるか必ず確認しましょう
  • 売却する前に一括査定サイトを使って複数の査定をとり正しい相場を知りましょう

-不動産, 不動産売却

© 2021 暮らしと不動産の参考書