不動産の取引、特に家を売る事を人生の中で何度も経験する方はそれほど多くないと思います。
私は不動産屋さんの店長として数多くの不動産売却に関わらせて頂いてきましたが、ほとんどの方が家の売却は初めてで、売るに先立って不安やストレスを感じている方がほとんどでした。
それで、この記事では家を売る流れをできるだけわかりやすく説明していきます。まずは家を売る時の基本的な流れをイメージして、少しでも不安を軽減してもらえたら嬉しいです。
この記事を読むとわかること
- 家を売る流れを理解することができます
- 家を売る各段階で抑えておくべきポイントが分かります
- 上手に不動産会社を選ぶ方法がわかります
1.まずは自分で相場を調べましょう
家を売り始める前に、まず自分でもできることがあります。
それは、「現在の物件の相場を調べる事」です。
なにか少し難しそうですが、これはとても簡単にできますので安心してください。
自分で相場を調べる簡単な方法
相場を確認する方法はとっても簡単で、今売りに出ている物件を調べるだけ。
Yahoo不動産やSUUMO、ホームズなどのポータルサイトを使って、不動産情報をチェックしましょう。
もしあなたが売りたい物件がマンションでしたら、同じマンション内か近くの築年数の近いマンションの物件情報を見ます。
戸建てや土地でしたら、できるだけ近くの(近所の)物件の販売情報を見てみましょう。
まずは、このような物件の販売情報を元に、だいたいこのぐらいの広さの物件なら、これくらいの価格で売っているんだな・・という様な感じで、大まかな相場を掴むことができればOKです。
さらにもし余裕があれば、土地でもマンションでも販売価格を面積で割って、㎡あたりの単価を調べておくと、後で比較しやすくなり、より相場がわかりやすいです。
例えば、
メモ
専有面積が80㎡のマンションが2,800万円で販売中だとします。
このマンションの㎡単価は、
2,800万円÷80㎡=35万円 1㎡あたり35万円
といった感じです。簡単ですね。
ただ、一戸建ての計算は建物の価格と土地の価格を別々に考える必要がありますので、もう少し複雑になります。
それで戸建ての場合は、まずは建物の価格は考えずに土地の㎡あたりの販売価格を計算します。
売土地として販売している物件の価格を使って近隣の土地の㎡単価を算出して見ましょう。
少しややこしく感じるかもしれませんが、ここはそれほど細かく考える必要はありません。とりあえずざっくりとした情報を頭に入れておけば大丈夫です。
なぜなら、実際には更地と建物が乗っている土地の単価は異なりますし、敷地が面している道路の広さ、敷地が道路にどのように接続しているかによっても土地の単価はかなり変わってきます。
ですから、正確な価格を知るには、不動産会社がするようなかなりの調査が求められます。
そこまではしなくても良くて、近隣でどれくらいの物件、家が売りに出ているかを把握しておく程度で大丈夫です。
でも、この情報が後に不動産会社の査定書を見るときに役立ってきます。
ポイント
まずは自分でも物件の相場観を養うことは大切です。
2. 不動産会社に査定依頼を出す
自分である程度相場を把握したところで、次は専門家に依頼する事になります。近所に不動産会社があれば数社に売却査定を依頼するのが、オススメです。
4社ほどに査定をしてもらって、その中から実際に依頼する不動産会社さんを選びましょう。
できれば大手、中小、地元の業者など、バリエーションを持って査定依頼するようにしましょう。
ポイント
査定依頼はバリエーションをつけて数社に依頼しよう
査定依頼は一括査定サイトを使うと断然便利
査定依頼をするのに、不動産会社に1件ずつ電話したり、または実際に会社を訪問して査定の依頼をする事もできますが、一括査定サイトを利用してまとめて依頼すると、問い合わせの手間が省けて、時間の節約になり大変便利です。
一括査定サイトを利用して査定依頼を出すと各不動産会社は概算の査定金額を提示してくれます。
提示された金額の中であまりにも他社とかけ離れた金額は一旦無視して、普通は各社ともある程度近い金額に収まるはずです。
その査定金額の平均値が実際の家の相場になります。
一括査定サイトは完全無料で使えますので、まずは一度どれかに登録してみてください。簡単にプロの視点での家の相場が分かるはずです。
安心して使える査定サイトを3個ご紹介します。どれも実績があって安心して使えるサイトです。
おすすめの不動産一括査定サイトの選び方については詳しくはこちらの記事で詳しく説明していますので、よかったらお読みください。
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【2020年完全版】失敗しない不動産一括査定サイトの選び方
この記事を読むと分かる事 不動産一括査定サイトを使うメリット・デメリットがわかります 不動産一括査定サイトの使い方のコツがわかるようになります あなたにぴったりの不動産査定サイトが選べるようになります ...
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訪問査定に必要な資料を揃えておこう
概算の金額を出してもらったら、次は訪問査定を依頼してさらに正確な金額を算出してもらいます。
訪問査定とは不動産会社の担当者に実際に家をみてもらう査定の事です。
では、家の査定に際して、何か事前に揃えておくと良いものはあるでしょうか?
インターネットで一括査定を依頼する時にも、入力の際必要になるものもありますので、ぜひ事前にチェックして下さいね。
査定時に揃えておくと良いもの
① 物件の全部事項証明書(登記簿謄本)
こちらは管轄の法務局で取得可能です。必要があれば不動産会社の人でも取得可能ですので、わざわざ査定のために新しいものを取る必要はないかなと思います。
手元にあるものが古いものでも、もし内容に変更がなければ、一応用意しておくと良いと思います。
② 物件の「権利証」または「登記識別情報」
ひと昔前は不動産の登記手続きをすると「権利証」というものが発行されていました。
平成17年に法律が変わって、「権利証」の代わりに「登記識別情報」という書類に変わりました。
ですので、平成17年より前に取得した不動産でしたら「権利証」、平成17年以降でしたら「登記識別情報」となります。
不動産の売買には必ず必要なものですので手元に揃えておきましょう。
③ 固定資産税の納税通知書など物件の固定資産税がわかるもの
固定資産税の納税通知書とは、毎年1月1日の時点での不動産の所有者に対して、固定資産税の納税額を知らせる通知です。
自治体にもよりますが毎年5月か6月に送られて来ます。
④ 物件の資料
マンションであれば購入時のパンフレットや管理規約、管理費修繕費等がわかる書類があると良いです。
戸建てであれば設計図などがあれば用意しておきましょう。
これらのものを事前に揃えておけば、不動産会社の営業マンとしては査定がしやすくなりますし、その後の売却活動でも購入希望者への説明もスムーズに進めることができると思います。
査定金額とは
訪問査定が終わると、次はいよいよ各不動産会社が査定金額を提出してくれます。基本、口頭ではなく書面でもらうのが望ましいです。
私も紙に金額と根拠を記載した査定書を作成して、売主さんに提出していましたが、ほとんどの不動産会社がきちんとした査定書を提出してくれる事でしょう。
では、そもそもこの査定金額とはなんなのでしょうか?
私の経験上、ほとんどの方が、「査定価格」=「物件の価値」というように認識されていたように感じますが、いかがでしょうか?
確かに、ある意味では「物件の価値」ではあるのですが、正確には査定金額とは「比較的スムーズに売れる(概ね3ヶ月以内)であろう価格」です。
ここで注意していただきたいのですが、あくまで「売れるであろう価格」、つまり予想の価格であるという事です。
つまり、過去の販売事例や現在売り出されている不動産価格から、将来あなたの物件が売れるであろう金額を算出しているということなんです。
ポイント
査定価格は3ヶ月以内に売れるであろう予想の価格です
3.不動産会社を決める
複数の不動産会社に査定依頼をした場合、どの不動産会社に実際の売却を依頼しようかと迷うかもしれませんね。
では、どうやって不動産会社を決めたら良いでしょうか?
家の売却活動を依頼する不動産会社を良く見極める事は非常に大切です。
不動産会社の見極め方
一番高い価格を提示してくれた不動産会社が、物件の価値を一番評価してくれて、高く売る努力をしてくれる不動産会社だ!
と思うかもしれませんね。
でも、結論から言いますと査定価格の高さだけで決めるのはやめたほうが良いです。
先ほども書きましたが、査定価格というのはあくまで過去の事例をもとに算出した「売れるであろう価格」です。
ですから、必ずしもその金額で売れるとは限らないのです。
不動産会社によっては、あえて他社より高い価格を提示して、まずは売却依頼を受けようとするところもあります。
でも、相場より高い物件は、よほどラッキーな事情がない限り売れません。不動産の購入希望者も本当に真剣なので、みなさん相場をよく知っています。
それで結局、ズルズルと値下げをする必要が出てきて、必要以上に売却に時間がかかったり、最悪の場合は相場より安く売る羽目になってしまう事もあります。
それで、査定の価格だけで判断しないようにしましょう。
大事なのは査定の価格ではなく、その査定価格にどんな根拠があるのか、どんな販売活動を行なって、物件の販売活動をするのかという事です。
そして、その不動産会社やその担当者が不動産売却(成約)までの道のりをきちんとイメージできているか?という事は非常に大切です。
もちろん不測の事態が起こって不動産の動きが予想より悪く、当初の販売プラン通りに進まなくなる事はあります。そのような際には柔軟な対応力や戦略が求められます。それができる様な不動産会社を見つけたいところですね。
大手か、地元の不動産屋か
さて、売却活動を依頼する不動産会社をどのように決めるかですが、大手が良いのか、地域密着の地元の不動産会社が良いのか、と悩むところだと思います。
私の経験上ですが、担当者の人柄、仕事ぶりで選ぶのが正解と思います。
信頼できる人か、熱心に親身になって売却活動を手伝ってくれそうかをよく観察してください。
大手だからといって、売却活動がスムーズに行くとは限りませんし、
また中小の不動産会社だから、販売力がないとは限りません。
それで、
ポイント
売却依頼の決め手は担当者の人柄と販売戦略です
不動産の仕事は良くも悪くも属人的(人による)な要素が大きいです。
とはいえ、これは不動産に限った話ではありませんが、ただ良い人というだけで、その人の仕事も信頼出来るという訳ではないですよね。
ですから、きちんとした販売活動をできるのか、どんな戦略を持っているのかもきちんと質問して確認するようにして下さい。
媒介契約って何の事?
販売を依頼する不動産会社が決まったら、次はその会社と「媒介契約」を結ぶことになります。
ところで媒介契約とはなんでしょうか?
時々勘違いする人もいるのですが、これは物件を売却する契約ではありません。
物件の売却の仲介を依頼する不動産会社と売主との契約です。
簡単にいうとあなたの会社に物件の売却活動を依頼しますよ、という書面で、契約書には仲介手数料の額や、売却活動を依頼する期間など、色々な決まり事が記載されています。
この媒介契約書には3つの種類があります。
それぞれの媒介契約書の特徴と違いを簡単に説明していきます。
媒介契約書の種類
媒介契約には以下の3種類の形態があります。
①専属専任媒介契約書
②専任媒介契約書
③一般媒介契約書
それぞれの特徴を説明します。
契約種類 | 依頼できる不動産会社 | 自己発見取引 | 契約期間 | レインズ登録義務※ | 売主への報告義務 |
専属専任媒介契約 | 1社のみ | 直接契約不可 | 3ヶ月以内 | 契約から5日以内 | 1週間に1回以上 |
専任媒介契約 | 1社のみ | 直接契約可 | 3ヶ月以内 | 契約から7日以内 | 2週間に1回以上 |
一般媒介契約 | 複数可 | 直接契約可 | 通常3ヶ月以内 | 登録義務なし | 報告義務なし |
※レインズとは?不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムで全ての不動産会社が物件情報を共有し閲覧できる。
これらの契約形態の中から選んで不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約の選び方はこちらの記事で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。
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【結論】一般媒介契約vs専属専任媒介契約【早く高く売るためには結局どっちが良い?】
モトキさん 一般媒介が良いのか、専属専任媒介が良いのか?意見の分かれるテーマですね。 専属専任は不動産屋に騙されるから、一般媒介が良いって聞いたことありますー 新人さん モトキさん うーん。いろんな意 ...
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4.不動産を売りに出す
次はいよいよ売却活動です。
売却活動に際してまず行うと良いのが、物件の清掃です。
売却活動をする物件に住んでいてもいなくても、必ず掃除をするようにしましょう。基本的には自分で行うレベルの掃除で十分です。
そんな事しなくても売れるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、このような少しのことで、内覧に来られる方の物件に対する印象はガラリと変わるものです。
人は第一印象が大切と言いますが、家も同じです。できるだけよく見せる演出をしましょう。
意外にも、このような小さな心がけで不動産は早く高く売れるものです。
ポイント
お部屋や敷地の掃除は必ずしましょう
住みながら売る?空家になってから売る?
居住中のまま売却活動をする場合と、引越し後の空き家の状態で売却活動をする場合とがあると思います。
どちらが売却に有利なのでしょうか?
一概にはいえませんが、空き家の状態の方が、売却活動はやりやすいはずです。
購入希望者が内覧をする際にいちいち予定を合わせなくてもよいですし、見に来る方も気兼ねなく見ることができます。
実は、不動産会社にとっても空き家の方が何かと案内しやすいのでお客を連れていきやすかったりします。
また、家具がない状態だと部屋が広く見えるのも一つのメリットです。
でも逆に、家具がないと部屋の汚れが目立ったりもします。
空き家と居住中での売却活動、いずれも一長一短あるので、あなたの家の売却を担当している担当者、そして不動産会社と出来るだけよくコミュニケーションを取って最善の策を練るようにしましょう。
ポイント
不動産会社の担当者とは良くコミュニケーションをとって協力体制を整えましょう
5.買主と交渉をする
いよいよ、購入希望者が現れる時がきます。購入希望者は不動産会社を通じて「購入申込書」を書面で提出してきます。
「購入申込書」には購入希望額や購入に際して銀行から住宅ローンの借り入れをするかどうか、物件の引き渡し希望日はいつか、などの条件が記載されています。
内容をよく確認して慎重に検討してください。
購入希望者によっては、値引きを希望してくる方もいます。
というよりも、ほとんどの方が値引き交渉を希望されるといっても過言ではありません。
それで、値引きに応じるか否か、応じるなら幾らまでなら売却をしても良いかを、事前に決めておくと話がスムーズに進みます。
ポイント
価格交渉が入った時のために売渡しても良い最低の金額を決めておきましょう。
6.売買契約
売り渡しの条件が売主と買主でまとまったら、次はいよいよ売買契約です。
売買契約の際には買主に重要事項の説明がなされ、その後、売主買主共に売買契約書にサインをします。
売買契約の際に、売主は買主から手付金を受け取ることになります。
手付金は売買代金の一部の前払いです。手付の額は、売買代金の5〜20%ほどと言われていますが、居住用の不動産なら100万円程度を手付で払うケースが多いです。
もっと詳しく
売買契約の際に売主が用意するもの
- 実印
- 印鑑証明(発行後3ヶ月以内)
- 登記済証または登記識別情報
- 固定資産税納付書
- 印紙代
- 本人確認書類(免許証・パスポートなど写真付きのもの)
- 仲介手数料半金(契約内容によります)
- 物件関係資料(建築確認通知書・マンション管理規約など)
7.物件の引き渡し
売買契約後、買主は住宅ローンを利用するのであれば、その手続きを速やかに行い、売主は、物件をきちんと引き渡せるように準備をします。
引き渡しの日に買主は売買残代金(売買代金から手付を引いた額)を売主に支払い、売主は物件を買主に引き渡します。
この引き渡し日に所有権の移転登記も同時に行い、晴れて売却完了となります。
家を売る流れのまとめ
不動産売却の流れを理解してもらえたでしょうか?
まず流れを理解しておく事で次にどんな行動が必要かを把握できると不安やストレスは少し軽減できると思います。
この記事が、少しでもあなたの不動産売却のお役に立てば嬉しいです。
不動産の売却は・・・
- まずは事前に売りたい物件の相場を調べましょう
- 査定はまとめて無料の一括査定が便利です
- 複数の不動産会社から信頼出来る担当者、会社を選びましょう
家を売る事を決めたらまず最初のステップは相場を知る事と査定になります。おすすめの査定サイトを厳選しましたので参考までご覧ください。どのサイトも実績があり安心して利用できます。完全無料で数分で査定依頼を複数の不動産会社に出すことができます。使ってみて損はないので、よろしければどうぞ。
不動産一括査定サイトの選び方、賢い使い方について詳しくはこちらの記事で解説していますので、よろしければご覧ください。
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