こんにちは。宅建士のモトキです。10年ほど不動産会社の店長をしていました。
今回は、土地を売却した場合の確定申告について解説していきます。
確定申告というと、とっても面倒なイメージがありませんか?
しなければいけないと分かっていてもついつい後回しにしてしまい・・
実はそんなケースは結構ありまして、確定申告の期限を過ぎてから、土地を売ったお客様から、「今年確定申告ってするんでしたっけ!?」という問い合わせがあったりしました。
実は、土地を売った後に確定申告が必要な場合と、必要ではない場合があります。
では、誰がいつどのように確定申告をする必要があるのでしょうか?
この記事を読むと分かる事
- 土地を売却した後、どんな人が確定申告をする必要があるのかが分かります
- いつどのように確定申告をする必要があるのかが分かります
- 確定申告の具体的な手続きの方法と流れが分かります
確定申告とは?
確定申告とは、1年間に生じた所得を合計して、所轄の税務署に申告し納税する事です。
所得税というと、一般のサラリーマンであれば、会社が源泉徴収してくれるので、自分で計算して納税する事はありません。
でも、不動産を売却して所得が発生した場合には、サラリーマンであってもなくても確定申告をする必要があります。
土地を売った翌年の申告期間に確定申告書類を税務署に提出します。
確定申告の期限は通常、2月中旬から3月中旬です。
2020年の確定申告の受付期間は、
2月17日(月)から4月16日(木)です。
コロナウイルスの感染が広がっているため、申告期限が当初より1ヶ月ほど延長されました。
土地を売却した場合に確定申告は必要?
土地を売却した場合に確定申告が必要となる場合と、必要ではない場合があります。
また、控除の特例などの適用を受けようとする場合も確定申告が必要になります。
フローチャートで説明します。
土地を売却して確定申告が必要となる場合
確定申告が必要となるのは、譲渡所得が発生した場合と、控除の特例の適用を受けようとする場合です。
それぞれの場合について解説します。
譲渡所得がある場合
まず、土地を売却して確定申告が必要かどうかの判断基準は、譲渡所得(売却益)が発生しているかどうかです。
譲渡所得が発生している場合は、必ず確定申告が必要になります。
譲渡所得の計算方法
譲渡価格 ー(取得費+譲渡費用)= 譲渡所得金額
譲渡価格
・土地を売った売却価格
取得費
・売った土地を買い入れた時の購入代金
・仲介手数料(購入時)などの費用
譲渡費用
・仲介手数料(売却時)
・測量費など土地を売るために直接使った費用
・土地を売却するために支払った立退料
・建物を取り壊した費用
さらに詳しく
買った時の金額がわからない場合は?
土地を売った金額の5%を取得費として計算できます。また、実際の取得費がこの金額より低い場合も同じように計算できます。
控除の特例の適用を受けたい場合
土地を売って利益(譲渡益)が出た場合でも、また損(譲渡損失)が出た場合でも、控除の特例を利用したい場合には、確定申告が必要です。
控除の特例は、節税のために使える制度です。
3,000万円の特別控除
まずは、譲渡益が出た場合に使える控除の特例です。
マイホームを売った時は、譲渡所得から最高3,000万円までを控除できる特例があります。
この特例は、原則としてマイホームを売った時に適用できるものですが、条件を満たせば、マイホームを取り壊した後の敷地にもこの控除を使う事ができます。
3,000万円の特別控除を適用する条件
- 家屋を取り壊した日から1年以内にその敷地を売る契約をしていること。
- その家屋に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。
- その家屋を取り壊してから、その敷地を売る契約をした日まで、貸付けその他の用に使用していないこと。
- 家屋の一部を取り壊してその敷地の一部を売った時で、残った家屋が居住できる状態になっている場合には適用不可。
この制度の適用条件について、詳しくは国税庁のHPをご確認ください。
国税庁HP【マイホームを取り壊した後に敷地を売った時】
譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
次に、譲渡損失がある場合に使える控除の特例です。
この控除の特例も基本的にはマイホームを売った場合に適用できるものですが、マイホームを取り壊した後の敷地の売却にも適用できる可能性があります。
損益通算
マイホームを売って譲渡損失が出た場合、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるマイホームの売却であれば、その譲渡損失の金額をその年のその他の所得からも控除できます。
繰越控除
それでもその年で控除しきれなかった損失金額がある場合には、その翌年以後3年にわたって所得から繰り越して控除できます。
要するに、マイホームを売却して出た損を、他の所得から控除して節税に使えるという制度です。
この控除の特例を使うには、以下の前提条件があります。条件の概要を解説します。
1.マイホームを売却して新しく買い換える場合
マイホームを売った年の前年から翌年までの3年の間に新たなマイホームを購入し、新たなマイホームの購入に利用した住宅ローンの残高があること。
2.新しくマイホームを買い替えない場合
売買契約の前日において住宅ローン残高のあるマイホームを売ること。住宅ローンの残高からマイホームの売却価格を引いた残額を限度に譲渡損失の控除をする事ができます。
上記の2つに該当し、以下の条件にも該当する土地売却の場合は、特例を適用できる可能性があります。
その他の条件
・令和元年12月31日までに土地を売却する事
・マイホームの敷地であった事
・土地の譲渡契約が、家を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る事
・家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日までその敷地を貸駐車場などに使っていない事。
買い替えの場合のその他の条件
・売却した年の前年の1月1日から翌年の12月31日までの間に日本にある家屋で床面積50m2以上の物件を購入する事
・購入に際して10年以上の住宅ローンを組む事
この制度について、詳しくは国税庁のHPをご覧ください。
ココに注意
これらの特例を適用するには確定申告が必要です。
土地を売却しても確定申告が不要な場合
土地を売却して、売却した価格から取得費や譲渡費用を差し引いてマイナスが出ている場合は、確定申告は不要です。
3,000万円の特別控除を適用するとマイナスになる場合、つまり特例の適用を受けないとプラスになる場合は確定申告が必要になりますので注意してください。
また、損が出た場合でも、節税のために損益通算と繰越控除の特例の適用を受けたい場合には、確定申告が必要です。
ココがポイント
土地を売却して損が出た場合は、確定申告は不要です。
確定申告の方法
- 税理士に依頼する
- 自分で申告書を作成して税務署に提出する
1.税理士に依頼する
税理士に依頼する方法は、簡単で正確かつ安全に申告をできますが、当然費用が発生します。
複数の不動産売却が関係していたり、他にも申告する収入があって複雑に感じる場合は、税理士に依頼するのが無難です。
後で追加で課税されたり税金を多く払いすぎたりするのを防げれば、税理士さんに払う費用も決して高くはないかもしれません。
税理士は以下のサイトで無料で探せます。
2.自分で申告書を作成して税務署に提出する
自分で確定申告書を作成して、税務署に提出するにはいくつかの方法があります。自分にとって一番やりやすい方法で行うと良いでしょう。
申告書に手書きで記入して税務署に提出する
申告書が自宅に送られてきている場合は、その申告書を使っても良いですし、税務署に行って書類をもらってきて自分で申告書を作成し提出する方法です。申告書の作成にはかなりの時間と手間がかかります。
税務署の申告コーナーで申告書を作成して提出する
とりあえず税務署に行って、申告のコーナーなどがあるのでそこで手伝ってもらいながら申告をする方法です。確定申告の時期は税務署がかなり混雑するため時間がかかります。
国税庁のホームページで申告書を作成し郵送または持参して提出する
パソコンやスマートフォンが使えるのであれば、国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」で必要事項を入力していき、申告書を作成します。それを印刷して税務署に提出します。
最初に税務署への提出方法を選ぶ箇所がありますので、「印刷して提出」を選択します。
おすすめ
確定申告をするのが初めてで、パソコンが使えるのであれば一番おすすめの方法です。
国税庁のホームページで申告書を作成しホームページからe-Taxで送信する
国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」で必要事項を入力していき、申告書を作成します。最初に税務署への提出方法を選択する箇所がありますので、「e-Taxで提出 マイナンバーカード方式」または「e-Taxで提出 ID・パスワード方式」のどちらかを選択します。
「e-Taxで提出 マイナンバーカード方式」はマイナンバーカード、ICカードリーダーライタまたはマイナンバーカードに対応するスマートフォンが必要になります。
「e-Taxで提出 ID・パスワード方式」は事前にID・パスワードの発行が必要です。税務署で写真入りの本人確認書類を持っていけば発行してもらえます。自宅からインターネット上でも発行できますが、マイナンバーカードとICカードリーダーライタが必要です。
確定申告の流れ
step
1必要な書類を準備する
【自分で準備する書類】
- 売った土地の売買契約書(売った時・買った時)
- 売った土地の費用の領収証(売った時・買った時)
- 土地の登記事項証明書(法務局で取得できます)
【税務署または国税庁HPで入手する書類】
- 確定申告書B 第一表、第二表
- 申告書第三表(分離課税用)
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
必要書類は国税庁の公式ホームページからダウンロードできます。
国税庁のホームページに入力して直接申告書を作成する場合は不要です。
確定申告書B・申告書第三表(分離課税用)の用紙のダウンロードはこちら
譲渡所得の内訳書のダウンロードはこちら
控除の特例などを利用する場合に必要となる書類はこちら
step
2申告書に記入する
申告書の作成は手書きで行う方法と、国税庁のホームページから行う方法があります。
手書きで作成する場合
譲渡所得の申告の仕方(記載例)を参考に確定申告書に必要事項を入力し作成します。記載例を参考にしながら、自分で計算し数字を記入していく必要があります。
国税庁HP【令和元年分譲渡所得の申告の仕方(記載例)】はこちら
国税庁のホームページから作成する場合
国税庁のホームページで、直接確定申告書を作成する事ができます。必要事項を入力し、質問に答えていくだけで、確定申告書を作成する事ができます。自動で計算もしてくれるので自分で計算等もする必要がありません。
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3申告書を税務署に提出する
税務署に郵送または持参で提出
国税庁のホームページを利用して確定申告書を作成した場合には、用紙をプリントアウトし、手書きで確定申告書を作成した場合は、添付書類を添えて郵送または持参で税務署に提出します。
提出先は自分の住所地を管轄する税務署です。
税務署の所在はこちらから調べられます。国税庁HP
e-Taxを利用してインターネット上で送信し提出
自宅からインターネット上で確定申告書を送信できます。
送信の方法は以下の2つです。
マイナンバーカード方式
自宅からインターネット上で送信するには、マイナンバーカードとICカードリーダライタが必要です。
・マイナンバーカード
住民票のある市区町村で取得可能です。詳しくは市区町村役場にお問い合わせください。またマイナンバーカードを取得した際に設定したパスワードも必要になります。
・ICカードリーダライタ
ICカードリーダライタはマイナンバーカードの電子証明書を読み込むために必要となるものです。家電量販店などで購入できます。またマイナンバーカード対応のスマートフォンも利用する事ができます。
参考:ICカードリーダライタとはこのような物です。
ID・パスワード方式
e-Tax用のID・パスワードを利用してe-Taxを利用する方法で、マイナンバーカードとICカードリーダライタが普及するまで、暫定的に使える方法です。
ID・パスワードの発行には、e-Tax利用前に手続きが必要です。
発行手続きの方法は2つです。
税務署で行う
税務署に運転免許証など顔写真付きの本人確認書類を持参して手続きします。
自宅で行う
インターネット上で手続きもできますが、マイナンバーカードとICカードリーダライタが必要です。
土地の売却後は確定申告を忘れずに
土地を売却し、売却益が出た後は、必ず確定申告が必要です。
また、控除の特例などの適用を受けるためにも期限内に確定申告をする事が必要です。
2019年1月1日から12月31日までに土地を売った人の確定申告書の受付期間
令和2年2月17日(月)から令和2年4月16日(木)
注意コロナウィルスの影響で例年より受付期間が延長されました。
申告は忘れずにするようしましょう。
申告書の作成や税金の計算など、やってみたけれどちょっと難しいなという方は・・
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まとめ
- 土地を売却して譲渡益(利益)が出た場合には確定申告が必ず必要
- 損が出た場合でも、控除の特例などの適用を受けようとする場合には確定申告が必要
- 確定申告書の作成は国税庁のホームページを使うと大変便利で正確に作成できる