リースバックの家賃はどうやって決まるの?
そんな疑問に答えます。
この記事を読むと分かる事
- リースバックの家賃がどうやって決まるかが分かります
- リースバックの家賃と買取価格の関係が分かります
- リースバックの賃貸契約の種類と選び方も分かります
リースバックの家賃の決まり方は?
リースバックは、マイホームを売却して、そのまま賃貸で借りて住み続けるという方法です。まとまった資金が必要だけれど、何かの理由で引っ越ししたくない、できないという方がリースバックを利用しています。
リースバックを利用すると、持ち家が賃貸に変わりますので、当然、家賃が発生するようになります。
では、このリースバックの家賃はどのように決められるのでしょうか?
家賃は買取代金との関係で決まる
リースバックの家賃の決まり方は、通常の賃貸住宅の家賃の決まり方と異なります。
居住用の賃貸住宅の場合、家賃は近隣の賃貸物件の家賃相場に合わせて設定します。
もし相場よりも高い家賃を設定したら、借り手が付きづらいという事は容易に想像できると思います。逆に相場よりも安すぎる家賃に設定したら、借り手はつきやすいものの損をしてしまいます。
一方、リースバックの家賃は近隣の相場で決まるのではありません。リースバックの家賃は買取価格との関係で決まります。
近隣の家賃相場に合わせて決めるのではないため、通常よりも高くなる事が多いのです。
リースバックの家賃は買取価格の年利6から10%
では、具体的にどのように家賃を設定するのでしょうか?
ほとんどの場合、買取価格に対する利回りで家賃を決めます。
利回りは業者や物件によって異なりますが、リースバックの家賃の場合、大体6%〜10%程度になります。
ココがポイント
ここで言う利回りとは、「年間の家賃が買取価格の何%か」という意味です。
実際に買取価格から家賃を試算してみる
買取価格が1,000万円で利回り10%の場合
年間家賃は1,000万円の10%なので、100万円になります。
月の賃料は100万円÷12ヶ月=83,333円
買取価格のが1,000万円で利回り6%の場合
年間家賃は1,000万円の6%なので60万円になります。
月の賃料は60万円÷12ヶ月=50,000円
家賃設定の基準は業者や物件によって違う
リースバックの業者が、利回りを何%で設定するかによって家賃が決まってきます。
利回りのパーセンテージは、どの物件でも同じになるわけではありません。物件の種類や地域によって利回りを低く設定できるところもあれば、高く設定するところもあります。
具体的な基準は各業者によって異なりますが、基本的な考え方は不動産投資です。
リースバックの業者は、不動産投資事業として家を買い取っています。
それで、その不動産を買い取って資産として運用(貸したり売ったりする事)する時にどれくらいの利益が見込めるか、またそのためにはどれほどのリスクがあるか、という事を見極めています。
利益の見込みとは、家賃をどれほど取れる物件なのか、もし将来転売する時にはどれくらいの値段で売れそうか、などです。
リスクについては、将来物件を転売する際の値下がりの可能性や家賃が滞納する可能性などです。
都市部などで今後も不動産の価格が下がりにくい、賃貸でも売買でも、常に不動産の需要がある地域の物件はリスクが低いと言えます。
逆に、都市部ではなく、さらに生活に不便な場所の物件は価格が下落するリスクが高く賃貸の需要も低いと考えられます。
リースバックの業者は、これらのことを考慮した上で、利回りと家賃を決定していきます。リスクの低い物件は利回りは低く、リスクの高い物件は利回りが高く設定される場合が多いです。
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リースバックの賃貸契約には種類がある
リースバックでは、マイホームを買い取ってもらった業者と賃貸契約を結ぶ事になります。
リースバックで結ぶ賃貸契約は、実は一種類ではありません。賃貸契約の種類は主に二つで、「定期借家契約」と「普通賃貸借契約」です。
業者によって採用している契約方式が異なります。それぞれの契約の違いと、その特徴を良く理解してから業者を選ばないと、後で後悔する事にもなりかねません。
それぞれの契約形態の特徴について説明します。
定期借家契約
- 契約期間は自由
- 契約の更新はない(再契約は可能)
- 契約は公正証書などの書面で行う
- 基本的に中途解約は不可だが借主からは止むを得ない事情なら可能
定期借家契約は、その名の通り定まった期間家を貸し借りする契約です。この契約形態は2000年から始まったもので、従来の賃貸借契約と違って契約が自動更新しないのが特徴です。
契約期間は自由に決めることができますが、リースバックでの定期借家契約の場合、契約期間は2年程度で設定することが多いです。
契約期間が満了すると、基本的に契約は終了し、更新はされません。ここが、定期借家契約の大きなポイントです。
契約終了時には、貸主は期間満了の一年前から6ヶ月前までに、借主に対して契約が満了することを通知することが必要です。
なお、当事者が合意すれば再契約を結ぶ事は可能です。契約の方法は公正証書などの書面によって行います。
契約期間内の中途解約は、借主に転勤、療養、介護など止むを得ない事情が発生して住み続けることができなくなった場合には、解約の申し入れをすることができます。ただし中途解約ができるのは、借りている住宅の床面積200m2未満の場合に限られます。
普通賃貸借契約
- 借主が保護され立場が強い
- 契約は基本的に更新できる
- 契約期間は2年が多い
普通賃貸借契約は、従来から家を借りる時に使われてきた契約方法で、借地借家法の規定が適用されます。この法律は、基本的に立場の弱い借主を保護するために定められているので、借主に有利な内容が多く規定されています。
例えば、家賃の増額と減額をそれぞれ請求できますが、家賃を増額しないという特約は有効でも、減額しないという特約は無効になります。
契約期間は1年以上で自由に決めることができますが、契約期間を2年としている普通賃貸借契約が多いです。
契約は、貸主に「正当な事由」がない限り更新されます。ですから、借主が望めば、基本的には家を借り続けることができる、という事になります。
借主から契約を途中解約する場合は、契約の内容によって変わりますが、解約の1ヶ月から2ヶ月前に申し出れば解約できるように規定されている場合がほとんどです。
契約を更新しない正当な事由とは?
- 家の貸主及び借主がそれぞれその建物の使用を必要とする事情
- 建物の賃貸借に関するこれまでの経緯
- 建物の利用状況や現況
- 貸主が立退料を申し出た場合には申し出の内容
これらの点を総合的に考慮して、契約を更新しない「正当な事由」があるかどうかを判断します。
定期借家契約と普通賃貸借契約の主な違い
定期借家契約 | 普通賃貸借契約 | |
契約方法 | 公正証書などの書面によって契約する | 書面でも口頭でも良いが、不動産会社が入る場合は必ず書面で契約書を作成する |
更新の有無 | 期間満了によって終了し自動で更新されない | 正当事由がない限り更新される |
契約期間 | 自由に決められる | 自由に決められるが、一年未満の契約は期間の定めのない賃貸借契約とみなされる |
家賃の増減に関する特約 | 特約で家賃の増減について定めることができる 増減させないことも可能 |
特約にかかわらず家賃の増減を請求できる |
借主からの中途解約 | 特約によって定める 床面積200㎡未満の居住用の建物の場合は、やむを得ない事情で使わなくなった場合、特約の有無にかかわらず解約可能 |
特約によって定める |
貸主からの中途解約 | 基本的には契約期間内に貸主からの解約は不可。ただし話し合いにより合意した場合は可能。 | 借主が引き続き住む事を希望している場合は貸主からの解約は正当な事由がない限り不可。 |
リースバックでは定期借家と普通賃貸借どちらを選べば良い?
定期借家契約と普通賃貸借契約にはそれぞれメリットとデメリットがあるので、違いを理解した上で比較して決めるようにしましょう。
業者によって、どちらの契約形態を使えるか変わってきます。両方選べる業者もあれば、どちらか一方の契約形態しか使えない場合もあります。
定期借家契約のポイント
定期借家契約は、基本的には更新がない期間の定まった契約という事を覚えておきましょう。貸主が再契約を望まなければ、退去しなければならなくなります。
リースバック業者によっては、その再契約がプランにない場合もあります。もし長期間住む事を希望している場合は、この点を良く確認しましょう。
定期借家契約は10年というような長期間の契約を結ぶことも可能です。長期間の契約は、再契約の手間や費用がかからないというメリットがありますが、通常リースバック業者は長期の定期借家契約は結びたがらないでしょう。
ココがおすすめ
最初からリースバックで住む期間を決めている場合は、定期借家契約がおすすめです。長期に住み続けたい人には再契約ができない可能性もあるので、おすすめできません。
普通賃貸借契約のポイント
この契約は、普通に賃貸で家を借りる時と同じように、契約を更新しつつ住み続ける事ができます。
ただし、契約の更新には費用がかかる場合があります。家賃だけでなく、更新料などの費用がどれくらいかかるのかもチェックしておきましょう。
ココがおすすめ
長期間、リースバックで住み続けたい人には、普通賃貸借契約がおすすめです。
普通賃貸借契約なら借主が保護される規定が多いので安定して借り続けることができます。
リースバックでは家賃を重視する?それとも買取価格?
リースバックの契約をする時には、家賃を取るべきか、買取価格をとるべきが悩むところです。買取価格が高ければ、どうしても家賃も高くなり、家賃を安くしようと思えば、買取価格も安くなってしまうからです。
家賃と買取価格のどちらを重視するべきかについては、一つの結論がありません。それぞれ重視する事によって結論が変わってくるでしょう。
家賃か買取価格かを選ぶ際に、考慮すべきポイントは以下です。
- 無理なく月々払っていける家賃か
- どれくらいの期間住む予定か
- 将来買い戻しを希望するか
- そもそもなぜリースバックを利用するのか
無理なく月々払っていける家賃か
買取金額が高くても、月々の生活が成り立たないような家賃では、リースバックをする意味が薄れてしまいます。
現実的に払っていける家賃を設定するようにしてください。
どれくらいの期間住む予定か
限られた短い期間だけ住む予定であれば、多少家賃は高くても買取金額が高い方が良いでしょう。
逆に、長く住むのであれば、家賃は出来るだけ低く抑えておく方が有利です。
将来買い戻しを希望するか
もし将来買い戻しも計画しているのであれば、買取金額が多少低くても家賃を抑えた方が良いでしょう。買取金額が低ければ買い戻しの金額も低く設定できます。
そもそもなぜリースバックを利用するのか
通常の不動産売却をして手頃な賃貸住宅に出る方が経済的には良い場合がほとんどです。それでもあえてリースバックを利用するのですから、その動機をもう一度思い出してみましょう。
そうすれば、どんなプランを立てていくべきかが見えてくるはずです。
もちろん、いくらライフプランを立ても、全てが予定通りに進む事などありません。状況が変わればその都度見直しが必要になりますが、それでも、まずはライフプランをしっかりと立てて、それに合ったリースバック契約をする事が成功の秘訣です。
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まとめ
- リースバックの家賃は買取価格との関係で決まる
- 家賃は買取価格の年利6から10%
- リースバックの賃貸契約には種類があるので注意
- 家賃と買取価格のバランスはライフプランで考える