こんな疑問に答えます。
この記事を書いているわたしモトキは、不動産会社を経営者として10年ほど運営していました。このメディアでは、その知識と経験に基づく暮らしと不動産に役立つ情報を発信しています。不動産に関する質問やセカンドオピニオンをご希望の方は、ページ下部の「お問い合わせ」からお気軽にどうぞ。
この記事を読むと分かる事
- 相続したら不動産屋からDMやチラシが送られてくる理由
- なぜ不動産屋はあなたが不動産を相続した事を知っているのか
- 相続した不動産の価格だけを知る方法
「不動産を相続したら、不動産屋からダイレクトメールやチラシがたくさん送れてきた!」
そんな話をよく聞きます。電話までかかってきたという方もおられます。
不動産屋からのチラシもDMも電話も、趣旨と目的は同じです。
「相続した不動産を売るつもりはありませんか?」とか「売るときはお任せください!」ですね。
でもきっと疑問に思われると思います。
「なんでこの人たちうちが不動産を相続した事を知っているの?」
「もしかしてあの人がばらした?」「わたしの個人情報流失している!?」
でも安心してください。誰か関係者が個人情報を流失させたわけではありません。
相続したらDMやチラシが送られてくる理由
- 不動産屋は登記情報をもとに営業活動をしている
結論から言うと、不動産屋は「不動産登記情報」を見て連絡してきたのです。
「じゃあ登記は司法書士に任せたんだから司法書士がばらしたんじゃないの?」と疑いたくなる気持ちも分かりますが、この「不動産登記情報」は誰でも見れるもので、司法書士がばらしたわけではありません。
「そんな個人情報を誰でも見れるなんて!!」と思われるかもしれませんね。
でも、これは日本の登記制度の仕組みなんです。
登記制度とは
「登記」とは、権利の関係を明らかにするために設けられた制度です。
まず基本的な事として、日本では契約をする意思があれば、それが口約束でも成立します。
例えば、ありえない話ですが、「この土地をあげるよ」とか、「売るよ」など、それが口約束だとしても理論上は契約が成立するのです。
でも当然、「口約束でもらった」なんて言う人から大金を出して土地を買う人はいません。その人が本当にその土地の所有者かどうかわからないので、怖くて買えないですよね。
そこで、登記という制度があるわけです。
不動産に関して権利を得たり、失ったりしたら、その情報を登記所(法務局)に対して申請することによって登記簿に情報を記載する事ができます。
登記簿に記載された情報は、一般に公開され誰でも見る事ができます。誰でも見る事ができる事で不動産取引をする人は、相手が本当に権利を持っていると言う事を確認する事ができ、安心して取引ができるようになります。
登記制度によって、不動産の取引が安全かつ円滑に行われれるようになっているのです。
登記簿に記載された情報は、誰でも法務局に行ってお金を払えば、登記事項証明書(昔は登記簿謄本と呼ばれていたもの)として取得する事ができます。これが不動産登記の簡単な仕組みと役割です。
さらに詳しく
今回の話題とはあまり関係はありませんが、登記には「公示力はあるものの、公信力はない」とされています。これは、簡単に言えば、登記すればそれが事実になるのではなく、あくまで事実を登記すれば、それを第三者にも主張できるという意味です。参考までに。。
あなたが相続登記をした事をなぜ不動産屋は知っているのか?
ところで、不動産を相続をしたあと、法務局にご自分で、または司法書士に依頼して「相続登記」の申請をされた事と思います。
この手続きをする事によって、あなたが「確かにその不動産を相続して新たな所有者になった」という事を示す事ができます。
この、あなたが行った「相続登記」の情報を入手して、不動産屋は連絡をしてきたということです。
さらに詳しく
ちなみに、相続をしてから、いつまでに登記をしなければならないという期限は特にありません。ですが、相続した後に登記をしないでおくと後々トラブルが起きてくる可能性があります。
今日本では全国的に所有者不明の不動産が増えているようですが、これは何世代にもわたって登記をせずに放置してしまった事が原因の一つと言われています。この事が社会問題化していることから登記を義務化しようという動きもあるようです。
と心配されるかもしれません。
確かに、登記簿の情報は、わざわざ細かく地番を指定して請求しない限り内容はわかりません。でも、まず間違いなく特にあなたが目をつけられていたというわけではありません。
じゃあどうやって調べるの?と思うかもしれませんね。
ここからは少し詳しい不動産屋しか知らない方法なのですが、少しだけ説明しておきます。
もしご興味があれば読み進めてくださいね。
不動産屋が相続登記を調べる方法
法務局は、登記の受付をするとその情報を一つの帳簿にまとめています。
それは「不動産登記受付帳」という行政文書で、「いつ、どこで、どんな登記が行われたか」という一覧が載っています。
この文書は法務局に対して開示請求をすれば、プリントアウトした紙やPDFで受け取る事ができます。
この一覧には、登記の内容と登記した地番は記載されていますが、登記した人の個人名などは記載されていません。登記をした人の名前や住所を調べるには、一覧に記載された地番をもとに登記事項証明書を取得する必要があります。
流れとしては、営業エリアの「不動産登記受付帳」を開示請求 → 相続登記があった地番の登記事項証明書を取得 →あなたの名前と住所を知る → ダイレクトメールやチラシを送る
という感じになります。
これが、あなたが不動産を相続した事を不動産屋が知る方法でした。
まとめ
急に手紙やダイレクトメール、チラシなどが届いて気味が悪かったかもしれませんね。
不動産屋があなたが相続したと言う情報を手に入れたのはこのような方法でした。
チラシや手紙などだけならしばらく無視していれば止まるはずですが、もし、しつこく営業されるのが嫌な時は、電話やメールなどで売る気がない事をはっきりと伝えても良いと思います。
もし、相続登記もしていないのに不動産屋から連絡があった場合は、空き家、空き地の所有者を調べてチラシやダイレクトメールを送っている可能性がありますね。
最後までお読み頂きありがとうございました。この記事の内容が少しでも皆様の役に立てば嬉しいです。
モトキ