こんな疑問に答えます。
土地を売るとなると、わからない事も多く、少なからず不安や心配を感じられるでしょう。そしてほとんどの方がこんな風に考えられると思います。
- 土地を出来るだけ高く売りたい
- 業者に騙されて大事な土地を安く売りたくない
- 初めての土地売却に失敗したくない
この記事は、そんな風にお考えの方に向けて、土地を出来るだけ高く売るために知っておくべき情報を分かりやすく解説します。
私は、今までたくさんの不動産取引に関わらせて頂きましたが、成功する例や残念ながらあまり上手くいかなかった例も見てきました。今までの経験から、どんな事に気を付ければ土地の売却がうまく行くのかを理解する事ができたと思っています。
もちろん、不動産は一つとして同じものがないので、物件ごとにベストな売却方法を探す必要があります。それでも、この記事で解説する内容を抑えておけば、土地売却の成功にかなり近づく事ができるかと思います。
この記事に客観的なプロの意見を書いていきますので、土地売却をするときの参考にして頂ければ幸いです。
この記事を読むと分かる事
- 土地を高く売るために気をつけるべきポイントが分かります
- 土地を高く売るためにどんな準備をするべきかが分かります
- 土地をできるだけ高く売るために最も大切な事が分かります
- その他土地を売るために必要な知識を得られます
土地を出来るだけ高く売る為に最も重要な事は?
業者選びが最重要
土地を出来るだけ高く売るために一番重要な事は、業者選びを間違えない事です。では、具体的にどんなポイントで選べば良いのでしょうか?
業者を選ぶ時に大切なポイントは次の二つです。
- 信頼できる営業担当がいる事
- 販売力がある不動産業者である事
信頼できる営業担当者がいる事
まず、信頼できる営業担当がいるという事が一番大切です。もちろん、「信頼できる不動産会社」という事が前提なのですが、どちらかというと会社自体よりも「担当者」が信頼できるという事の方が重要です。
不動産仲介の現場では、営業担当者がかなりの裁量を持って仕事をします。担当者の器量の差が取引自体、ひいては売買価格にまで影響を与える事があるのです。
それで、不動産会社を選ぶときは、業者自体だけではなく担当者をよく見るようにしてください。誠実さと熱意がある営業担当者は、土地売却を成功させる上で欠かせないパートナーとなります。
ココに注意
大手の不動産会社の営業担当というだけで、信頼できる訳ではありません。会社の看板の力を自分の力と勘違いしている不誠実な営業も結構いますので注意してください。逆に、中小の不動産会社にも誠実で実力のある営業はたくさんいます。
販売力がある不動産業者である事
販売力がある業者とは、自社で積極的に販売活動を行っている会社です。
具体的には、現地の販売会を行ったり、チラシやインターネットを使った広告活動を行っている事です。インターネットでの広告活動では、自社のwebサイトだけではなく、不動産ポータルサイトへ物件情報を掲載している必要があります。
不動産会社の中には、自社で積極的に販売活動をしない会社もあります。「売主専門」といえば聞こえは良いですが、やはり自社で買手を集めない(集められない)業者に良い条件での販売はできません。買主の視点を良く知らなければ、良い販売活動はできないのです。
大手の不動産仲介会社でも、買主を集める事にはあまり力を入れていない業者もありますので注意してください。
ココがポイント
物件が良ければそれでも自然に売れて行きますが、今は買い手市場になっているエリアが多く、今後もその傾向は増えていくので、販売力のある不動産会社を選ぶということは、スムーズかつ好条件での売却には欠かせないポイントです。
土地を売るための6つのステップとは?
ここからは、土地を売るとき流れを解説します。土地を売る流れは以下の6つのステップに分ける事ができます。
- 土地の価格査定
- 媒介契約
- 販売活動
- 契約
- 決済
- 税金の申告
1.土地の価格査定
土地の価格査定は、不動産会社に依頼します。査定依頼を受けた不動産会社は、過去の販売事例などのデータをもとにして、「売りに出したら大体いくらぐらいで売れるのか」を算出します。それが土地の価格査定です。
この最初のステップと査定と、次のステップの媒介契約は、土地を出来るだけ高く売るために一番重要な部分です。
最初の二つのステップで、土地売却が成功するかが決まってくると言っても良いでしょう。
土地の価格査定をする際に気をつける事は次の二つです。
- 査定価格とは何かをきちんと理解する事
- 必ず複数社に査定を依頼する事
査定価格とはなにか?
不動産会社が提示する査定価格は、「いくらで売りに出すのが一番良い思うか」という提案の価格です。あくまで過去の事例に基づいて、「このくらいの価格ならスムーズに売れるのではないか?」という予想の価格なのです。
さらに詳しく
ですから、査定で提示した価格が高いからといってその価格で100%売れるという保証はありません。そして、売りに出す価格を最終的に決めるのは、売主であるあなたです。
土地を高く売るためには正しい価格設定が重要
売り出す価格は、売主が自由に決める事ができるとはいえ、相場より高く売りに出しても、その価格で売れる事は基本的にありません。それは不動産会社がきちんと仕事をしないからではなく、土地を買う人も(余程の理由がない限り)相場より高く買う事がないからです。基本的に不動産は相場で売れていくのです。
もし逆に、土地を相場よりも安く売りに出せば、比較的早く売ることができます。早く売る理由がある場合は別ですが、わざわざ安く売って損をしたい人はいないはずです。相場より安く売ってしまったら、「もっと高く売れたかもしれないのに・・」という後悔が残ってしまうでしょう。
ですから、土地を出来るだけ高く売るという事は、相場を把握してその範囲で出来るだけ高く売る事を目指すという事です。
ココがポイント
不動産には相場がありますが、どの不動産も同じものはないという事もまた事実です。相場の中で、その土地の特徴を活かした販売活動をすれば、出来るだけ高く土地を売る事ができます。
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複数社に査定を依頼する事
なぜ複数の不動産会社に査定依頼をするべきかというと、土地の正しい相場を知るためと、依頼する不動産会社を見極めるためです。
土地の正しい相場を知るため
複数の不動産会社に査定を依頼しても、多少幅があっても査定価格は大方同じくらいになるはずです。なぜなら、不動産会社が査定をするときは、何の根拠もなく価格を出すのではなく、過去の販売の事例や、土地の路線価などを考慮した上で算出するからです。
どの不動産会社も基本的に同じ方法で査定をするため、同じような査定価格が出てくるのです。
仮に一社だけに査定を依頼した場合、それが本当に根拠に基づいた価格なのか、一般の人には判断しにくいでしょう。でも複数の不動産会社が同じような価格を出してくるのであれば、それが客観的に正確な数字だと判断できます。
ココに注意
他の不動産会社の査定価格よりも高すぎる価格を提示する不動産会社は、きちんとした根拠に基づいて査定していないか、売却の依頼を受けるためだけに価格を引き上げている可能性があるので、注意してください。
依頼する不動産会社を見極める
査定を依頼するときには、査定価格だけではなく、不動産会社を選ぶ場でもあるという事を忘れないようにしましょう。
特に査定書を見るときには、価格だけではなく、その不動産会社の販売に関する戦略も見るようにしましょう。あなたの土地の強みを生かした販売戦略を立ててくれる不動産会社が一番高く売ってくれる会社です。
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2.媒介契約
次のステップは、不動産会社との媒介契約です。媒介契約とは、土地の売却活動を不動産会社に依頼する契約です。媒介契約には3つの種類があります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
複数の不動産業者へ依頼 | 可能 | 不可 | 不可 |
媒介契約期間 | 法令上制限なし | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
売主が自ら発見した相手と取引 | 可能 | 可能 | 不可 |
不動産会社のレインズ登録 | 義務なし | 媒介契約翌日から7日以内 | 媒介契約翌日から5日以内 |
不動産会社の業務報告義務 | 義務なし | 2週間に一回以上 | 1週間に一回以上 |
ココがおすすめ
信頼できる不動産会社があれば、その不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶ事をお勧めします。残念ながらこれといった不動産会社がなければ、いくつかの不動産会社と一般媒介契約を結びましょう。
どの媒介契約が良いかは、その不動産の特徴やエリアによっても変わってきます。媒介契約についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。
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3.販売活動
販売活動は、売却を依頼している不動産会社が行います。販売活動には積極的な広告活動が欠かせません。土地を販売するときの広告活動は、チラシなどの紙媒体やインターネットでの広告、現地看板などによって行います。
業者に任せきりにせずに、きちんとした広告活動がされているか目を光らせるようにしてください。どの広告媒体に物件情報を載せていて、どんな写真を使っているか、どんなキャッチコピーを使って宣伝しているかも必ずチェックしてください。そして改善して欲しい点があれば指摘してみましょう。
さらに詳しく
専属専任媒介契約場合、不動産会社は売主に対して1週間に1回程度、販売活動の内容を報告する義務があります。報告の内容をきちんと確認し、疑問点があれば質問するようにしましょう。
4.売買契約
買い手が現れ取引の条件がまとまれば、いよいよ売買契約です。
売買契約には、売主と買主、そして仲介する不動産会社の担当者が立ち会います。売買契約に先立って、不動産会社の担当者が重要事項の説明を行います。通常、重要事項の説明は、売買契約と同じ日で売買契約の直前に行われます。
売買契約時には、買主から手付金の支払いがあります。手付金は売買代金の一部の前払いです。
ココがおすすめ
重要事項の説明は、主に買主に対して行うものですが、後々のトラブルを避けるためにも同席して内容を一緒に確認する事をお勧めします。
5.決済
決済日には、売買代金のうち支払済の手付金を引いた残代金の支払いを行います。それと同時に土地の登記名義を買主に移す手続きを行います。
残代金の支払いは、銀行口座への振り込みで行う事がほとんどなので、決済も銀行の一室で行う事が多いです。決済には売主、買主、不動産会社の担当者集まり、登記を担当する司法書士が立ち会います。
- 司法書士が登記名義を買主に移転するための書類を確認
- 問題がなければ、買主が残代金の支払い
- 司法書士が、代金が確実に支払われた事を確認し、法務局に所有権移転の登記を申請
- 取引完了
6.税金の申告
土地を売却した後、支払いが発生する可能性がある税金は「所得税・住民税」です。この税金は、土地を売ったときの譲渡所得に対して課される税金です。
譲渡所得が出た場合のみ申告が必要
「譲渡所得」とは、土地を売って手元に入ったお金そのもののことではありません。手元に入ったお金から、土地を取得したときの代金や費用、また売ったときの費用を引いて残った金額です。
つまり、言い方を変えれば、土地を売って儲った部分に対してかかる税金という事です。それで、もし買った時の価格よりも安く売った場合は、儲けがないので税金はかかりません。
さらに詳しく
買ったときの価格がわからない場合は、概算取得費と言って売った価格の5%が土地を取得した代金とみなされます。つまり儲けが出やすくなって課税される可能性が高くなってしまうので注意が必要です。
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土地を売った翌年に確定申告が必要
土地を売った場合の所得税は、土地を売った翌年に確定申告をする事によって支払います。
サラリーマンの方なら、所得税といえば給料から源泉徴収されるので、自分で手続きせずに自動的に支払うイメージがあるかもしれません。土地を売った場合に出た「譲渡所得に対してかかる所得税」は、分離課税といって自分で税務署に確定申告して納税する必要があります。
税率は、土地の所有期間によって変わります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% |
確定申告の期間
確定申告は、売った土地を管轄する税務署に行います。確定申告の期間は、例年2月中旬から3月中旬までです。
令和2年中に土地を売った場合の申告期間は、令和3年2月16日(火)から3月15日(月)です(予定)。
確定申告については、こちらの記事で詳しく解説していますので、もしよろしければお読みください。
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土地を売るための準備とは?
土地を売るためにはどんな準備をすれば良いのでしょうか?
準備といっても、それほどたくさんの事をする必要はありません。大抵のことは、売却を依頼する不動産会社が行ってくれるので安心してください。するべきことは、売主にしかできない事だけです。
売主であるあなたがするべき事は次の3つです。
- 必要書類を揃える
- 土地の状況を把握する
- 土地の権利関係を確認する
必要書類を揃える
土地の売却に必要な書類はたくさんありますが、そのほとんどが役所で取得できる物や、不動産会社が作成したりするものです。
以下の二つは土地の所有者が持っているはずの書類ですので、手元にあるかを確認する必要があります。
- 権利証
- 土地取得時の売買契約書
権利証
土地の権利証は、その土地の所有者であることを証明するものです。もし紛失している場合は、売却に際して特別な手続きが必要になりますので、早めに不動産会社や司法書士に相談しましょう。
土地を取得したのが、2005年以前の場合は、「登記済」という赤い印が押された書類が権利証です。2005年以降は、この権利証は廃止され「登記識別情報」という一枚の用紙が権利証の代わりとなっています。
ココがポイント
「登記済証」または「登記識別情報」が、売主の本人確認のために必要です。
土地取得時の売買契約書
売却後に税金を計算するときに取得時の売買契約書が必要になります。ただし、持っていない場合でも土地を売る事には支障はありません。
ただし所得税が掛かる可能性が高くなりますので、出来るだけ探すようにしてください。(理由については上記の「税金の申告」の項目で解説していますのでお読みください。)
土地を売却する際に必要になる書類については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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土地の状況を把握する
土地の現在の状況、また過去の歴史についても、できる範囲で確認しておく必要があります。売却を依頼する不動産会社にも必ずヒアリングされる内容ですので、情報を事前に整理しておきましょう。ちなみに、その情報は買主にも告知されます。
- 境界、越境
隣地との境界にきちんと境界標が設置されているかどうか
隣地から自分の敷地にはみ出してきている塀やフェンス、屋根、植木などがあるか、またその逆があるか - 配管の状況
上下水などの配管関係が他人の土地を通っていないか、または他人の配管が敷地を通っていないか - 地盤の沈下や軟弱など
地盤が沈下していたり、昔田んぼや沼があった場合など、地盤が弱いかどうか - 敷地内残存物
敷地内に浄化槽や古い建物の基礎など、撤去に費用がかかるようなものが埋まっていないか - 土壌汚染
人の健康に害を及ぼすような汚染がないか
汚染の可能性があるような工場などの敷地として使われていたことはないか - 浸水の被害
敷地内や周辺地域で浸水の被害が起こった事があるか。 - 近隣の建築計画
例えば、近くの敷地に高いビルが立つ予定があるなど、敷地に影響を及ぼす可能性がある建築計画があるか - 騒音や振動、匂いなど
道路や線路、工場などから騒音や振動または匂いがするか - 電波障害
テレビなどの電波に障害があるか - 周辺施設
環境に影響を及ぼすような施設が近くにあるか。例:ゴミ処理場、暴力団事務所、火葬場、墓など - 近隣との申し合わせ事項
近隣地域で取り決めている決まり事、例えばゴミ出しのルールや自治会費などがあるか。 - その他の重要な事項
敷地内または周辺で事件や事故などが起こった事があるか
近隣とのトラブルなどがあるか
擁壁や崖などが近くにあるか
今現在自分で使っている土地であれば、ある程度状況を把握しているはずですので、すぐに答えられると思います。
住んでいる場所から離れた場所の土地の場合には、実際に現地に行って確認する必要があるでしょう。
ココがおすすめ
少し昔の出来事などが関係している場合には、記憶を呼び起こしたり情報を整理したりする必要があるかもしれません。もし気になる事があれば紙などに書き出してまとめておきましょう。
土地の権利関係を確認する
土地を相続した場合など、登記名義の変更をしていない場合もあります。実際に名義が誰になっているかを事前に確認しておきましょう。登記の名義は、その土地を管轄する法務局に行けば登記事項を証明書の形で入手できます。
もし、登記の名義が現在の所有者になっていない場合には、土地を売る前に名義変更をする必要があります。また、土地が共有名義の場合には、土地を売るためには共有者全員の同意が必要になります。事前に共有者全員の売るという意思をまとめておきましょう。
登記事項証明書のとり方
土地の地番を全て把握している場合には、インターネット上で登記情報を取得する事ができます。または最寄りの法務局で取得することも可能です。
土地の地番がわからない場合には、少し調査する必要があります。一つの方法は、固定資産税の納税通知書を確認する事です。そこに課税されている土地の地番が記載されているはずですので確認してみてください。
法務局公式ホームページはこちら
土地の特徴・状況ごとの売るためのポイント
土地の特徴や状況によって、土地を売る時に気をつけるべきポイントは異なってきます。ここからはいくつかの特徴に分けて、売る時のポイントを解説します。
広い土地の場合
広い土地の場合、つまり、近隣の一般的な住宅の敷地よりも広い土地の場合です。住宅の敷地の広さは場所によってかなり差があるでしょう。都市部などは30坪程度の地域もありますし、郊外や田舎であれば、50坪や60坪が普通という地域もあります。
住宅地の場合
住宅地にある広い敷地の場合、近隣の坪単価に合わせて販売すると総額が高くなってしまい、買い手が少なくなって売却に時間がかかりがちです。
敷地が広くても分割できる敷地の場合は、業者が買い取って分譲する事ができるため、不動産業者に販売することが第一の選択肢になるでしょう。その場合は、通常の市場価格の7割以下になるという事は覚えておいてください。
自分で土地を分割して売りたいと考える方もおられますが、不動産会社ではない個人が区画割して分譲すると、無免許で不動産業を行っていると見なされて、処罰の対象になる可能性があり危険なのでやめましょう。
販売活動は、一般市場向けと業者向けと同時並行で行うのが良いでしょう。買取り業者は、自分で探す事もできますが、仲介手数料を節約するためだけであれば、あまりお勧めできません。
ココがポイント
販売活動は、不動産仲介会社を使って、一般向けと業者向けを同時に行う
原野などの土地の場合
原野や畑など、建物の建築ができないエリアと土地の場合は、通常の流通ルートではなかなか売れない場合があります。
このような土地を売る場合は、親身になってくれる不動産会社に販売を依頼して気長に待つ必要があります。
不動産会社によっては、儲けにならないと考えて、あまり積極的に動いてくれない場合もあります。インターネットなどで同じような土地を扱っている業者を探して声をかけてみても良いでしょう。
住宅地が近くても「市街化調整区域」などのエリアでは建築が制限される場合があります。そのようなエリアの土地は、住宅の敷地として利用できない場合があります。それで、周辺の環境にもよりますが、資材置き場、駐車場、家庭菜園などの用途になります。このような土地を売るとなると坪単価がかなり安くなり、かつ買手も限られる事になります。
さらに詳しく
今一度、役所に行って建築ができない土地なのか、その理由も含めて確認しておきましょう。建築できないと思っていても、法令や制限が変わっている可能性もあります。売却価格に大きく影響する事なので念のため確認してください。
狭い土地の場合
建物が建てられないほど狭い土地を売る場合、不動産会社ならまず考える事は、隣接地の所有者が買ってくれないかという事と、逆に隣接地を買って敷地を広げて価値を上げられないかということです。
個人の売主の場合は、隣接地を買うというのはなかなか難しいと思います。それで、まずは周りの所有者に買ってもらえないかという事を考えるべきです。
もし、相手方と個人的な関係性がないのであれば、不動産会社を通して話を進める方がスムーズに進むでしょう。
同時に、通常のルートでの販売も試しましょう。利用価値の低い土地の場合、売却までには多少時間がかかるかもしれませんが、売れない可能性はゼロではありません。自分では狭い土地と思っていても、他の人から見れば十分の広さという場合もあります。複数の不動産会社に査定を依頼して客観的な意見を聞いてみましょう。
ココがポイント
親身になって取り組んでくれる不動産業者を探して、いろいろな販売方法を試してみましょう。
古家がある場合
土地に古家が立っている場合には、そのままの状態で売却するか、解体してから土地を売却するかという問題があります。
解体して更地にした方が売りやすい場合もありますが、古家付き売り土地として売却する方法もあります。物件の状況によってベストの判断は異なりますので、不動産会社と良く相談して販売の戦略を練るようにしましょう。
古家付きの売り土地の販売方法についてはこちらの記事で詳しく解説していますのでよろしければご覧ください。
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訳あり物件の場合
土地に何かの問題があって、通常の売却がしにくい場合があります。
例えば、敷地内や近隣で何らかの事件やトラブルがあって、それがいわゆる心理的瑕疵となる場合です。心理的瑕疵は買主に告知する義務があるので、隠したまま売る事はできません。
心理的瑕疵とは、その不動産を取引する際に売主、買主が心理的な抵抗を感じる出来事です。例えば、他殺、自死、事故死、病死、孤立死などがその例です。
このような事件・事故以外にも、近隣に嫌悪施設があることなども心理的瑕疵にある可能性があります。嫌悪施設とは不快感や嫌悪感を与える可能性がある施設で、墓地、廃棄物処理場、火葬場、刑務所、暴力団事務所などがあります。
このような訳あり物件は、全く売れないかと言えばそうでもなく、人によって物事の捉え方は様々なので、あまり気にせずに買う方はいます。
とはいえ、やはり相場の金額では売れないので、価格は大幅に下げる必要があります。
また、販売方法としては、通常の不動産と同じように大々的に広告して買主を集めるよりも、不動産業者間で未公開で売るケースが多いです。なぜなら、広告などに出して、世間の好奇の目に晒されるのを望まない売主が多いからです。そのため、一度不動産業者が買い取ってから業者が一般市場向けてに販売するケースもあります。
ココがポイント
訳あり物件でも売れない事はありませんが、価格は相場より大幅に下がってしまうという事は避けられません。業者に買い取ってもらうなど売り方を考えた方が精神的な負担は少なくて済むでしょう。
訳あり物件の売却に困ったら・・・
訳あり物件専門の一括査定サイト「お困り不動産どうする?」を利用すれば、良い条件で買い取ってくれる業者を自分で見つける事ができます。無料で簡単に買取価格を調べられますので、ぜひ利用してみてください。
土地を売る時の費用は?
土地を売る時の主な費用について解説します。主な費用は次の四つですが、かかる場合とかからない場合があります。
- 仲介手数料
- 登記費用
- 解体撤去費用
- 税金
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土地を売却する時に必要な費用とは?
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仲介手数料
土地を売るときの主な費用は、不動産会社に売却を依頼するときの仲介手数料です。
売買価格 | 仲介手数料上限 |
200万円以下 | 5%+消費税 |
200万円超え400万円以下 | 4%+2万円+消費税 |
400万円超え | 3%+6万円+消費税 |
仲介手数料については、こちらの記事で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。
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登記費用
土地を売る際に、登記費用が必要になるのは次の場合のみです。
- 抵当権を抹消する必要がある場合
- 登記名義が現所有者に変更されていない場合
抵当権を抹消する必要がある場合
売る土地に抵当権がついている場合には、抹消してから買主に引き渡す必要があります。抵当権を抹消するには、借入金を完済する必要があります。抵当権の抹消手続きは司法書士に依頼して行います。
登記名義が現所有者に変更されていない場合
登記の名義が現在の所有者になっていない場合には、名義変更をしてから土地を売る必要があります。その場合の登記手続きは、売主の負担と責任で行う必要があります。
例えば、相続で土地を取得した場合など、登記をせずにそのままにしてしまっている場合があります。数世代前から登記手続きをしないで放置しているケースなどは、相続登記に必要な書類を揃えるのに手間と時間がかかりますので、十分前もって準備しましょう。
ココがポイント
土地を売る為には、現在の所有者へ登記名義の変更をしてから、新所有者へ引き渡す必要があります。
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土地を相続したら名義変更は必要?
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解体撤去費用
建物が立っている場合に解体が必要な場合や、物置、地中にある建築物(例えば浄化槽や古基礎など)を撤去する必要がある場合、そのための費用がかかります。
ココがポイント
解体費用は高額になるケースもあるので、事前に業者へ見積もりをとっておきましょう。
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税金
この記事でも既に説明しましたが、土地を売って譲渡所得が発生する場合は、所得税と住民税が課税されます。
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土地を売る時の相談先は?
土地を売ることになり、まず何から始めればわからないと思われるかもしれません。土地を売るときの相談先は不動産仲介会社です。
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相談先については、こちらの記事でもっと詳しく解説しています。
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土地を売る最初のステップは?
最初のステップとして、査定を不動産会社に依頼しましょう。そしてこの記事で解説してきたように、複数の不動産会社に査定依頼をして業者を見極めましょう。
査定依頼は一括査定サイトを利用すると便利です。一度情報を入力するだけで簡単に複数の業者へ査定依頼ができ、しかも全て無料で利用できます。
一括査定サイトを利用するメリット
- 簡単に複数の業者へまとめて依頼できる
- まだすぐに売る予定ではなくても利用できる
- 業者に他社にも見積もり依頼をしている事が伝わる
- すぐに売らない場合に断りやすい
- 全て無料で利用できる
一括査定サイトの選び方は、こちらの記事で詳しく解説していますので、よろしければ参考にしてみてください。
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まとめ
- 土地を高く売るには相場の範囲内で売りに出すこと
- 土地を売るときは信頼でき販売力のある業者に依頼すること
- 土地の状況と特徴にあった販売方法を選ぶこと
- 複数の不動産会社に査定依頼をして業者を見極めること
土地を売るときにこの記事の内容が少しでも役に立てば幸いです。
あなたの土地売却が成功することを願っています。
モトキ